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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
良山編
272/1632

6-106 どこにでもいるコンコンです


「聞いてない、アッソレ。聞いてない、アラヨット。聞いてないったら、聞いてない。ヨッ!」



イカン。歌って踊っても、何も変わらない。このまま、コイツと祓われるのかぁ。


一人じゃナイよ。寂しくないもんっ。ハァ。落ち着いて、考えてみよう。



一つ! 祝の力で、コイツと清められる。


二つ! 蛇神様に丸められ、根の国へポイされる。


三つ! 霧雲山へ行き、祝の裁きを受ける。



・・・・・・。どれでも、死ぬよね。



「コイツと別れて、幸せになりたい。」


遠い目。



「好いた娘と契った筈が、思っていたのと違っていた。オレは悪くない。幸せにしない、オマエが悪いんだ。」


「そうそう。そんなカンジ!・・・・・・え。」


嫌呂きろろ、平伏す。


「へびぃ、蛇神様ぁ。お許しください!」



オレ、じゃ無い。私は悪い妖怪では、御座いません。良い妖怪でも、御座いません。どこにでもいる、一匹狐です。使わしめに憧れる、どこにでもいるコンコンです。


若い時には悪意おいと組んで、いろいろと。見てただけで、何もしてナイ。いえ、悪い狐でした。申し訳ありません。



「で、何が言いたい。」


「蛇神様。この嫌呂を、お助けくださいませ。」


「悪意と嫌呂。もう一匹、狐がいたな。」


「はい、悪鬼おきです。乱雲山にいます。」


「なぜ闇に。」



悪意が清められた事で、助けられた恩は返せたと思いました。それはもう、扱き使われましたから。


申し訳ありません。つるむのに疲れて、離れたかったんです。


一匹狐は、その。楽なんですが、怖くなるのです。このままポックリ死んだら、朽ちるまで見つからずって。


もし誰かと連れ立っていれば、気付いてもらえます。『あれ、朝から見てねぇな』みたいな? 少なくとも、朽ちる前に見つけてもらえる。かもしれません。


だから、そう。気の迷いです!


迷いはしましたが、悪い事など。・・・・・・はい。見ていただけで、助けなければ悪いですよね。


今は、どこにでもいる一匹狐です。使わしめに憧れる、野に住む狐です。


悪鬼と会ったのは、悪意の家を片付けた時です。それから会っておりません。会ったとしても、悪い事は致しません。



「嫌呂よ、なぜ闇に?」



ハッ、申し訳ありません。


その、流山に引っ越しました。保ちおにから許し札を受け取るのに、かかりまして。食べるのを、忘れてしまいました。


そんなこんなで、近くを通りかかった耶万やまの男に、吸い寄せられたのです。気がつくと、憑いてました。


いろいろ御座いまして、耶万から離れました。そこで、闇に取り込まれた魂を、その。美味しく頂きました!


ぐに、離れられないと気付きました。


コイツ、オレ。私の事が好きなようで、離れてくれないのです。どうせなら、メスの狐が良かった。


ハッ、その。ハハッ。



「その魂の一つに、用がある。取り出すのに力を貸せば、嫌呂よ。オマエを助けてやろう。」


「はい、喜んで! 何なりと、お申し付けください。」



やったぁ! 助かる、助かるぞ。


はい。何でもします。誓います。そうですか、フムフム。はい、何なりと。たとえ毛をむしられても、耐えてみせます!

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