6-106 どこにでもいるコンコンです
「聞いてない、アッソレ。聞いてない、アラヨット。聞いてないったら、聞いてない。ヨッ!」
イカン。歌って踊っても、何も変わらない。このまま、コイツと祓われるのかぁ。
一人じゃナイよ。寂しくないもんっ。ハァ。落ち着いて、考えてみよう。
一つ! 祝の力で、コイツと清められる。
二つ! 蛇神様に丸められ、根の国へポイされる。
三つ! 霧雲山へ行き、祝の裁きを受ける。
・・・・・・。どれでも、死ぬよね。
「コイツと別れて、幸せになりたい。」
遠い目。
「好いた娘と契った筈が、思っていたのと違っていた。オレは悪くない。幸せにしない、オマエが悪いんだ。」
「そうそう。そんなカンジ!・・・・・・え。」
嫌呂、平伏す。
「へびぃ、蛇神様ぁ。お許しください!」
オレ、じゃ無い。私は悪い妖怪では、御座いません。良い妖怪でも、御座いません。どこにでもいる、一匹狐です。使わしめに憧れる、どこにでもいるコンコンです。
若い時には悪意と組んで、いろいろと。見てただけで、何もしてナイ。いえ、悪い狐でした。申し訳ありません。
「で、何が言いたい。」
「蛇神様。この嫌呂を、お助けくださいませ。」
「悪意と嫌呂。もう一匹、狐がいたな。」
「はい、悪鬼です。乱雲山にいます。」
「なぜ闇に。」
悪意が清められた事で、助けられた恩は返せたと思いました。それはもう、扱き使われましたから。
申し訳ありません。連むのに疲れて、離れたかったんです。
一匹狐は、その。楽なんですが、怖くなるのです。このままポックリ死んだら、朽ちるまで見つからずって。
もし誰かと連れ立っていれば、気付いてもらえます。『あれ、朝から見てねぇな』みたいな? 少なくとも、朽ちる前に見つけてもらえる。かもしれません。
だから、そう。気の迷いです!
迷いはしましたが、悪い事など。・・・・・・はい。見ていただけで、助けなければ悪いですよね。
今は、どこにでもいる一匹狐です。使わしめに憧れる、野に住む狐です。
悪鬼と会ったのは、悪意の家を片付けた時です。それから会っておりません。会ったとしても、悪い事は致しません。
「嫌呂よ、なぜ闇に?」
ハッ、申し訳ありません。
その、流山に引っ越しました。保ち隠から許し札を受け取るのに、かかりまして。食べるのを、忘れてしまいました。
そんなこんなで、近くを通りかかった耶万の男に、吸い寄せられたのです。気がつくと、憑いてました。
いろいろ御座いまして、耶万から離れました。そこで、闇に取り込まれた魂を、その。美味しく頂きました!
直ぐに、離れられないと気付きました。
コイツ、オレ。私の事が好きなようで、離れてくれないのです。どうせなら、メスの狐が良かった。
ハッ、その。ハハッ。
「その魂の一つに、用がある。取り出すのに力を貸せば、嫌呂よ。オマエを助けてやろう。」
「はい、喜んで! 何なりと、お申し付けください。」
やったぁ! 助かる、助かるぞ。
はい。何でもします。誓います。そうですか、フムフム。はい、何なりと。譬え毛を毟られても、耐えてみせます!




