6-95 再会
明くる朝、朝餉の後。
迎えが来る事を、蔦山の皆に伝えた。
タカが『学び足りない』とか、『良村に残りたい』と言い出した。守り方は教えた。狩り方は、蔦山で学べば良い。
「あのな、タカ。良村で教えられる事は、全て教えた。これからは蔦山の、狩頭から学べ。」
シゲに言われ、コタを見つめる。
「また、会えるさ。」
コタに言われ、俯く。それからキッと見つめ、言った。
「でも!」
「でも、じゃ無い。」
ビシッ。シゲとコタ、息ピッタリ。
「・・・・・・はい。」
明くる日、朝の休み頃。
「キャン。キャ、キャン。」 シラナイニオイ。モリカワカラ、フネデクル。
マルコが吠えた。
シゲに撫でられ、尾を振る。マルにも撫でられ、ウットリ。
シゲコは、山裾の地との境へ。コハルはキョトン。え、誰か来たの? マルを見上げた。撫でられウットリ。フリフリ、尾を振った。
ムロとシゲが、舟寄せへ急ぐ。
そろそろ着く頃だとは思うが、蔦山の舟とは限らない。蔦山からなら、シゲコが村へ知らせに、戻る事になっている。
「長、早かったね。どこかに泊まったのかい?」
「馬守にね。」
シゲコが村へ。少し経って、蔦山の皆を連れ戻った。
「父さん!」
「ツネ!」
父と娘が、久しぶりに会った。ツネに抱かれた嬰児。テルを見つめ、涙を流す。孫を抱き、頬ずり。
「シゲ、ムロ。ありがとう。ありがとう。」
ニッコリ笑って、頷いた。
夏は日が長い。加えて、帰りは下り。来たより早く着くだろうが、嬰児がいる。休んで行けばと、申し出た。
「そうしたいが、行くよ。ヤツらは引いたが、熊がね。」
骸は葬り、血は水を撒いて流した。夏は食べ物が少なく、痩せた熊が多い。
長引いた戦により、魚川へ行けば腹が膨れると学んでしまった。昼の間は、狩り人が出る。しかし夜、それも遅くとなれば・・・・・・。
「今からなら日暮れ過ぎ、裏岩まで行ける。泊めてもらう話が、付いている。ありがとう。」
そういう事なら止めない。しかし、熊とは。
念のため、矢を多く渡した。腐る物じゃないし、あっても困らない。おまけに軽い。
「シゲさん。オレ、強い狩り人になります。」
「そうか。タカなら、なれる。」
「はい!」
良村の皆で、手を振って見送った。舟が見えなくなると、マルが言った。
「おろちのっ、へびがっ、ついてっ、くれうって。」
オロチ様が、使いの蛇を付けてくださったのか。
マルは優しい。熊が出ると聞いて、御願いしたのだろう。




