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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
良山編
255/1633

6-89 神様、隠様、オロチ様


あかと別れ、コハルを連れて村に戻ったコタ。シゲに話したい事があると言って、家の中へ。



「あのな。上木の緋から、言伝ことづてを頼まれた。」


「上木? 忍びの、隠れ里かな。」


「知ってるのかい?」


「いいや。緋と聞いて、忍びの名かなと。」





そうか。里の長として、会って話したいと。


オロチ様のおおせから、許しを得なければ入れないと。心消こけしの影とは違い、心得ている。しかし忍び。会うのは良いが、村に入れるのはなぁ。



「村に入れるのは、めた方が良いと思う。」


「禍をもたらすと?」


「それは分からない。」



オレのカンだ。


緋ってのは、オレたちに似ている。上手く言えないけど、カンだぞ、カン。人を殺してるよ。それも、数えきれないほど。強いられたのではなく、守るために。


食べ物を得るため、着る者を得るため、暮らしに要る物を得るため。生きてゆくため、暮らしてゆくためにさ。


あの見た目じゃ、逃げられる。


オレたちは、早稲わさでさ。だから、見た目で決めない。けど、知らない人からすれば、怖いだろう。


怖がるような、避けるようなのと、付き合えない。信じられない。それで、山奥に逃げた。ひっそり暮らしているんだ、きっと。



「隠れ里や村との繋がりを持てれば、奪わずとも生きられる。」


「でも、叶わない。」


「良村ならと思っていた時、コタが来た。」


「話しかけられ、こうなった。」




畑の手伝いをしていたマルを呼び、お願いする。


「なぁ、マル。オロチ様に、伺いたい事が有るんだ。どうすれば良いかな?」


大蛇おろち、お話があるって。


「マルコ。マルから離れるでないぞ。」


「ハイ。」


尾をフリフリしながら、吠えずに伝える。


「シゲ、コタ。ここでは、障りが有ろう。」


「はい。では、家の中で。」





緋は、影とは大違い。賢く、わきまえて居る。


会うてみよ。察しの通りだ。しき者の命しか、奪わぬ。其方そなたらのように。



ずっと昔は違ったのだろうが、あの目。夜、暗い中で見る事が出来る。


明るい昼は、物が見えにくい。ボンヤリとは、見えるようだ。だから夜、動く。



上木の者は、争いを嫌う。


ただ、あの目だ。どうしても手に入らぬ物は、盗む。獣の肉や革を置いてな。悪い事だと解っているが、どうにも。だから、良村との繋がりを欲したのだろう。


話し合い、付き合っても良いと思ったなら、結んでやれ。互いに仕掛けぬ、助け合うとな。



「仰せの通り。」


揃って、平伏した。



シゲやコタだけじゃ無い。良村の大人たち皆、大蛇をオロチ様と呼び、崇めている。


牙の滝から飛び降りたマルを、傷一つ付けず、助けてくださったのだ。


人の子を助けるおにが、禍をもたらすとは思えない。


助けるのはマルだけかもしれないが、こうして助けてくださる。神様、隠様、オロチ様。で、ある。


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