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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
良山編
253/1632

6-87 心消の長の証


沢出神さわいでのかみと岩さま。祝と、社憑やしろつきのもやさま。


神の使わしめより、社の使わしめ。ノラリクラリ熊より、お狐さま。加えて、蛇神様の御力添えがあれば。



蛇神様はおっしゃった。憑いた子のためなら、力を御貸しくださると。


子か。その子がいる限り、良村よいむらは守られる。その長が求めるのは、忍びの結びに加わる事。心消こけしと結ぶ事では無い。


忍びの結びに、忍びではない者。里に一人でも、忍びがいれば。いない、となると難しい。この機を逃せば、次は無い。


ここで今、結ぶと言うのは容易たやすいが、結べるとは限らない。



「影だけでは、結べません。」



結んでいる忍頭を集め、許しと認めを求める。


全てから得なければ、決して叶わない。影は、数いる忍びの一つ。解ってほしい。


心消の定めにより、名は明かせない。


明かせぬ者が何を言っても、信じられないだろう。しかし、信じて貰わねば。だから心消の、長のあかしを預ける。


この命。尽きたとしても、全て引き継がれる。そういう品だ。


いつまでも待たせるつもりはない。次の、満ちる月の夜。明けてぐの昼までに、ハッキリさせる。




「お頼みします。」


「良かろう。シゲも良いな。」


「はい。オロチ様のおおせに、従います。」



影は心消へは戻らず、天霧山へ向かった。森の中を突っ切って。





影が置いて行った、心消の長の証。


ただ勾玉まがたまに見えるが、良く見ると、くがねのような物が混じっている。日の光を当てると、透けて見えた。



「オロチ様、この品は。」


「水玉の石だ。勾玉は昔、犬の歯を用いた。このような石を用いるとは。心消は豊かな村から、逃げたのだろう。」


「キュゥゥ。」 ミタコトナイナ。


それ、どうするの? とっても、思いが込められてる。そんな気がする。


「気になるかい、シゲコ。」


「ワン。」 ニキナル。


シゲに撫でられ、尾をフリフリ。



心消の長の証は、失くさないように隠された。布で包まれ、傷つかないように。




「マル。マルよ、聞こえるか。」


キョロキョロ。


「こ、これ。」


「キュゥ、キャン。」 ナンダロ、ムシジャナイヨネ。


「マルコが転がしてたのは、神ぞ。」


「クゥ?」 ソウナノ?


釜戸神は、人と同じくらい大きくて・・・・・・。


「人の思いが強ければ、大きゅうなるのじゃ! マルよ。祝として、仕えよ。」


「断る。」


おには、黙って居れ。」




「マル、どうした?」


キョトン。


「さぁ、戻ろう。」


「はいっ、たぁけっ、さん。」



手を繋ぎ、仲良く村へ戻った。マルは日に日に、上手く話せるようになっている。


因みに、大実神おおみのかみ大蛇おろちは、日が落ちるまで話し合った。


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