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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
良山編
222/1632

6-56 兆し


・・・・・・。・・・・・・?


「何だ。」


聞こえますか?


「・・・・・・マル、だったか。」


はい、そうです。マルです。


「我に何用か。」


ブランさん。良村よいむらのこと、好きですか?


「・・・・・・嫌いではない。」


私は大好きです。良山よいやまは、良い山です。良村は、良い村です。みんな優しくて、良い人です。ニコッ。


「そう、だな。・・・・・・で。」


大蛇おろちが教えてくれました。私には祝の、清めと守りの力があるって。だから私、この山と村を守りたいの。


「そうか。努めよ。」


ブランさんは、化け王の目になって、霧雲山の統べる地を、見張ってるんですか?


「そうだ。」


祝辺の守って、どんな人ですか?


「マル、守になりたいのか。」


私は良山を守るの。霧雲山なんか、知らない! 知ってるけど、そういうんじゃなくて・・・・・・。


「王のうつわではないが、マルは良い祝になる。」


ありがとう。化け王に認められる、良い祝になるわ!




良い娘だと思った。体中に傷を負っている。心も幾度いくたびか、壊されている。しかし、魂は美しい。





「・・・・・・大蛇。」


「何だ。」


「元は神であろう。なぜ人に付く。」


「人に付いたのではない。マルに付いたのだ。」



おにが守る祝か。孤独と絶望から抜け出て、光の中へ。カー様とエン様のよう。


・・・・・・王とは、孤独だ。


化け王。収集の才を持って生まれただけで疎まれ、恐れられる存在。エン様亡き今、カー様を包む光は、どこに。




化け王は皆、短命であった。孤独に耐え切れず、自ら命を絶たれたと。


天寿をまっとうされたのは、ジル王とエマ女王のみ。カー様は、不老不死。配下には妖怪も。長く生きるとはいえ、いつかは。


永遠に生きる。いとしい全てを見送り、それでも死ねない。どれほど深い孤独に囚われるのか。考えただけで、恐ろしい。



我は妖怪。この命ある限り、カー様の御側に。叶うなら、カー様と共に・・・・・・。




マル。其方そなたは幸せだ。仔犬、マルコだったか。犬は死ぬが、大蛇は永遠に生きる。たった一人で、孤独に苛まれながら死ぬことはない。




「マルよ。」


はい。


きざしを、見逃すな。」


兆し?


「事の起ころうとする、前触れのことだ。」


前触れ。


「兆しを感じ、兆しを見る。然為さすれば、守りたいものを守る、大きな助けになる。」


はい。ブランさん、ありがとう。私、みんなを守ります。ニコッ。


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