6-52 築城計画
「なぁ、ノリ。」
「何だい。」
「風見、早稲、耶万。他にも・・・・・・。」
「いるだろうな。そんな気がする。」
戦のゴタゴタで、どっかに隠れてさ。山ん中、抜けて。あちこち回って、調べてる。風見や早稲より、耶万だ。
コタの罠、掻い潜って、山に入って来たんだ。滑って谷に落ちたけど。それに、煙。
ノリコもコハルも、気づかなかったのに、マルコだけ。犬は、鼻と耳が良い。釜戸山の犬は、特に鼻が利く。つまりだ。犬が気づいた時には、遅いってこと。釜戸山の犬にしか、嗅ぎ分けられない。
耶万のを、乱雲山へ。その時オレも、別の舟で行こうと思う。帰りに釜戸山に寄って、犬飼いに育て方、聞くんだ。教えてくれるかどうか、分らないけど。
「そうか。」
「行っても、良いかい?」
「行ってこい。ノリコ、連れて行くんだろう。」
「連れて行く。コハル、頼めるかい?」
「良いよ。」
犬の鼻を鍛える術があるなら、学べるなら、村を守る力になる。犬好きで、犬にも好かれるノリなら、得られるだろう。
決して使ってはならないと、化け王が仰った。その薬なのかどうか、分らない。違っていたとしても、悪い物に違いない。
風見は必ず、やって来る。耶万も、いつか。為来りを守るとは、限らない。いきなり攻められれば、山裾の地は・・・・・・もたないだろう。いくら祝辺の守でも、難しい。
冬の戦だって、化け王の助けがあったから、退けられたんだ。今だって、ブラン様の目を通して、見張って居られる。
霧雲山は、祝辺の守に。乱雲山は、妖怪に。天霧山は、隠に守られている。良山は?
オロチ様が、皆を守ってくださるのは、マルが望むから。序でに、守っているに過ぎない。オロチ様が守るのは、マル。マルコだって、同じだろう。マルを守るために、吠えて知らせた。
どうする。獣谷の隠れ里のように、隠すか。森川の源の泉は、良村にある。舟で進めるだけ進んでも、村まで行けない。
降りて、川沿いに進めば来られるが、険しすぎて危ない。狩り人なら、引く。
戦は、人を狂わせる。守りたい誰かを質に取られれば、形振り構わず、突き進むだろう。
骸の山を踏み越えて、次から次へ。そんなことになれば、きっと・・・・・・。
山城。そうだ、良山を城に。守りを、もっと、もっと固めて。今も罠を仕掛けたままだから、山裾から奥には、入れない。
この山に引っ越してから今まで、助けなく良村に来たのは、木菟に鷲の目、雲。霧雲山と天霧山の忍びだけ。
良山の際まで入れたのは、谷に落ちた耶万。気づいていないだけで、他にも?
何にせよ、守りを固めなければ。良山に良村があることは、釜戸山の灰が降る地では、知られている。良山のどこに村があるのかは、知られていない。
馬守のアサさん、ハナさん。蔦山のツネさん、五人の子たち。八人は知ってるが、馬守も蔦山も、良村を売るようなコトはしない。これからも助け合って、付き合えば良い。
どんな事になっても、村の暮らしと幸せを守る!




