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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
良山編
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6-47 人が人でなくなる


木菟ずくと鷲の目が、目で話す。確かに、暴れられるとな。



「乱雲山。雲井社くもいのやしろの、祝に託そう。」


鷲の目が言い、木菟が頷く。


「そうと決まれば、行くか。」


雲。クロを撫で、二コリ。


「ワン。」 ハイ。


撫でられ、尾を振る。ムロにも撫でられ、ブンブン。



泉から川下へ進み、滝の向こうへ。そこから、南を目指す。崖下はゴツゴツしていて、歩きにくい。


トコトコ、ピョン。トコトコ、スタッ。クロの後を、三人の忍びが行く。



「クゥ、ワン、ワン。」 ナッ、ナンダ、チカイ。


「あぁ、これは・・・・・。」


雲がスッと、口と鼻を布で覆った。


「ワン、ワワン、ワン。」 オォオイ、キコエルカ、ココダ。


「ワン、ワワン。」 ノリコ、アリガトウ。


「クゥ、ワン。」 ソノ、サキデス。


鼻先をグッと伸ばし、示す。


「そうか。あの先を越えれば、真下か。」


「ワン。」 ハイ。


「クロ。少し離れて、待ってろ。分かるか?」


「ワン。」 ワカリマシタ。


雲はクロを撫で、立ち上がる。


「鷲の目、先に。木菟は、後ろ。オレは、上から狙う。」


見合い、頷く。




男が一人、倒れていた。足が、グニャリとしている。腕は、折れていないようだ。ピクリともしないが、息はある。


落ちていた枝でつつく。気を失っているうちに、縛ってしまおう。木菟が両手、鷲の目は両足。目で話し、決めた。上で見張っている雲も、頷く。


縄をかけようとした、その時。カッと目を開け、襲い掛かって来た。




「グヲォォォ。」


足の骨が折れ、立ち上がれない。


「ギャアァァァ。」


蛇のようにグニャグニャ、腰を揺らしながら近づく。




血走った目でよだれを流し、叫ぶ。おので決めたのか、強いられたのか。いづれにせよ、もう助からない。


『人が、人で無くなる』か。確かに、そうだ。人であることを、めてしまったのだ。この男は。



「ギャッ。」


真上から雲が、耶万やまの背に飛び降りた。時を同じくして、木菟と鷲の目。耶万の、両の手足を縛る。


舌を噛み切らないように、口には布を。頭の後ろで、しっかり結ぶ。


さぐるか。」


耶万の背から離れ、引っ繰り返した。隠し持っている物を奪い、袋へ。それから、辺りを見回す。


「とりあえず、クロの所まで。」


霧雲山の二人が、手足を持ち、運んだ。




「クロ。コイツ、見張ってくれ。ぐ戻る。」


「ワン。」 ワカリマシタ。


耶万に片の前足を置き、吠えた。足を戻し、尾を振る。




捕らえられた耶万は、気を失い、動かない。仰向あおむけにされ、手足を縛られているのだ。もし気がついても、蛇のようにクネクネ動くことしか、出来ない。


三人は見合い、戻った。何か落ちていないか、良く探す。

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