表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
良山編
211/1633

6-45 嬉しい、楽しい!


「ほら、カズ。前に話しただろう。岩割の帰りに、蛇の抜け殻を持った子を、牙の滝あたりで助けたって。」


「あぁ、その子。マルだったんだよな。」


「そう、マル。変だと思ったんだ。子が、あんな所で一人。蛇の抜け殻をさ、袋に入れて、首から下げて。」


マルがシュンとした。


「ち、違う。御守りなんだよな。だから、無くならないように、下げてんだよな。」


ノリ、大慌て。マル、ニッコリ。


「おばっば、さぁまぁあっ。くぅえ、たぁのぉ。」


「お婆さまが、くれたのか。良かったな、マル。」


コクンと頷く。ノリに撫でてもらい、ニッコリ。


「北山で、お婆さま。・・・・・・社の子だったのかい、マル。」


シンに問われ、戸惑う。


社の子、なのかな? 親なしっ子が、放り込まれていただけで・・・・・・。どうしよう。どう言おう。


首をかしげたまま、考え込んだ。




マルの頭を優しく撫でて、ノリが言う。


「覚えてるか、シゲ。マルが、チビの父さんに助けられた時の話。」


「チビの父さんって、谷河の狩り人かい?」


ノリのことだ。チビってのは、犬の名だろう。その飼い主だから、父さん。マルを見つけたのは、谷河の狩り人。話せないからと、釜戸山へ。


「そう。マルは、滝の上から飛び降りたんだ。いろいろ辛すぎて、嫌になったんだろう。その時、マルを助けたのが、白くて大きな蛇。で、今もマルを守ってる。その蛇の名が、おおち。いや、オロチ。」


マルの瞳が、キラキラ輝いた。


分かってもらえた、通じた。そうなの、大蛇おろちなの。


「そうか、オロチか。」


マルもノリも、ニッコニコ。




「・・・・・・なぁ、ノリ。見えるのかい、オロチ。」


「見えない。オレに見えるのは、犬とやまいぬ。」


「あぁ、前にも言ってたな。オレの後ろにいるって。」


遠い目をして、シン。


「犬たちが吠えないってことは、良いおにか何かってコト。そうだよな、マル。」


タケさんの言う通り! みんなにも、知ってもらいたい。


「みぃなおっ、まおって、くぅえてぇ、るぅ。」


「そうか。みんなを守ってくれているのか。」


カズさんにも通じた!


「それは、心強いな。」


みんな、みんな笑ってる。




「あの、つまり。崖下へは行かない方が良いって、ことでしょうか。」


木菟ずく。それに鷲の目も、人だろう。隠が言うんだ。死にたくなけりゃ、めておけ。」


センに言われ、考え込む。




「クゥゥ?」 ドチラサマ?


「クゥ。」 シラナイ。


「クゥゥゥ。」 ワルイヒトジャナイ。


「クゥ。」 ソウダナ。


ノリコ、シゲコ、シロ、クロ。静かに話し合う。


「キャン。」 ダアレ。


コハルも加わる。


「誰か、来たようだな。」


立ち上がろうとしたノリ。


「オレが行くよ。」


ニコッと、シゲ。




囲いの外に、人がいた。


「見ない顔だな。」


気がつかなかった。犬が落ち着いている。ここまで、傷を負わずに来た。ということは、忍び。


この感じ。木菟や鷲の目とは、違いすぎる。乱雲山に、忍びはいない。・・・・・・天霧山あまぎりやま


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ