表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
良山編
209/1633

6-43 止めよう


声を荒げたことなんてない木菟ずくが、叫んだ。探していた何かが、耶万やまで作られているのか。



「落ち着け、木菟。」


シゲに言われ、シンの肩を掴んでいたことに気づく。


「あっ、すまない。痛むかい?」


「いいや。驚いただけさ、痛くないよ。」




「なぁ、シン。聞いても良いかな。」


「何だい、ノリ。」


「気持ちが悪くなるヤツって、煙じゃないか?」


「ノリ。知って、まさか、持って。」


「知らないし、持ってない。ノリコもコハルも気づかなかったのに、マルコが気づいたんだ。」


「犬と、子かい?」


「ノリコは知ってるな。コハルもマルコも、仔犬だ。」




いつもと同じ、朝の山歩き。森川から東へ行く日でさ。マルを連れて、歩いてた。沢を三つ越えて、少し。


急にマルコが立ち止まって、首を傾げたんだ。それから吠えて、クルクル回った。ノリコもコハルも、ジッとしている。なのに、マルコだけ。


何か、いるのかいって聞いたら、激しく吠えた。だから、ノリコとコハルに探させた。滑り落ちた跡を見つけて、下りた。そこから崖下に落ちたんだろう。血は、ついてなかった。


一人じゃ危ないと思って、上に。ノリコが上がれなくて、前足の辺りに縄を巻いている時にな。少し、臭った。嗅いだことのない匂いだ。


ぐに離れなきゃいけない。カンだよ、そう思った。だから、離れた。




「そこへ、連れて行ってくれないだろうか。」


めておいた方が良い。」


「なぜだい、シゲ。」


「コノのカンだ。」


「しかし、確かめなければ。」




「木菟さん。妹の、コノのカンは、外れたことがない。祈るように言うのは、命を落とす時なんだ。オレが生き残ったのは、コノのカンを信じたからだ。」


「止めときなよ。私もさ、コノと同じ。嫌な感じがする。」


「・・・・・・シゲ。」


女の人は、カンが良い。逆らうとロクなことはない。どこでも同じさ。分かってる、それでも頼むよ、長。


「コノとタケが言うんだ。オレたちは、行かないよ。どうしてもって言うなら、おおよそを教える。」


そうですか。そうですよね。


「ありがとう。一人で行くよ。」


「オレも行くよ、木菟。」


鷲の目がいた。


「少し前から、いたぞ。クロと。」


ムロに言われ、落ち込む。あれ、言ってないよな。いつの間にって思ったコト、気づかれた?


「クゥ、ワワン。」 ズク、ツイテッテヤルヨ。


木菟の頬をペロンと舐め、尾を振る。




「良かったな、木菟。クロも行ってくれるってさ。」


「そうか、クロ。気をつけるんだぞ。」


「ワン。」 ハイ。


ムロに撫でられ、嬉しそう。


「行くぞ。」


ノリは、大の犬好き。そうです、知っています。知っていても、驚くよ。話せるんだね、犬と。




外に出ると、女の子がトコトコ走ってきた。服をチョンとつまんで、ブンブンと首を、横に振っている。そして仔犬が、グルグルと。・・・・・・またか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ