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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
旅立ち編
20/1615

2-10 危険人物

「どこ行った。」


岩の辺りから、そう遠くへは行ってないはずだ。この崖を登ることもないだろう。


「連れがいた。」


ツウとかいう女か? 草谷じゃなく、稲田の子だったのか。そうなら攫って、三鶴に引き渡す。


「逃がさない。」


逃がしてやるものか!


「十だったか。」


娘を連れて滝を登る? いや、ない。洞でもあるのか。



引くと言って、見えないところまで下った。そうでもしなけりゃ、捕らえられない。


「いつもと同じだ。」


心を折って、従える。見込みがなければ、囮として使い捨てる。


「コウは使える。」


だから泳がせた。村の子だから、大したことはない。そう思った。やっちまった。


「ジジイに教わったとか言ってたな。」


狩り人の子だったのか。




岩から川の源まで。隠れるとすれば、崖に生えた木くらいだ。山に入った?


「いや、ない。」


だとすると、滝か。子が登れるようなもんじゃない。


「洞でも、あるのか。」


そうとしか思えない。イヌをけしかけ、探させているが、見つからない。


「においがしないのか。」


においがしないなら、水の中。滝つぼに入った? いや、ない。コウは生きようとあがくヤツだ。死のうなんて考えない。



「逃げられた。逃げられた。逃げられた。」




滝の裏に何かある。イヌが嫌がって、近づこうとしない。まあ、いい。


「洞か。」


広いな。奥へ続いている。導き手がいなければ、迷って出られなくなる。入らないほうがいい。コウは賢い子だ。奥へ進むようなことは、しない。


「いや、ジジイか。」


洞にくわしければ、知っている。川田のジジイなら、知ってるか。近づくなとか言っていたな。




娘を連れて逃げるなら、火吹きの山か。もし、この洞が上につながっていたら。


「どこに出る。」


ここから近い狩り小屋は。


「鷹山か。」


狩り人の子なら、他の狩り人とつながってるか。



「張るか。」


どこを張る。人手がいるな。とりあえず、上に登るか。谷にはいないだろう。ここからなら。


「ジジイに会わなけりゃ、なんとかなる。」


ここいらの狩り人には嫌われている。どうする?


「イヌ! 探せ。」



「ハハハハハッ。逃がさない。」


逃がさない。逃がさないぞ!


「楽しいなぁ、おい。」


コウ、ツウ。待ってろ!


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