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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
良山編
199/1573

6-33 タカ、考え中


センたちを乗せた舟が、ゆっくり進む。しきモノが近づき、うかがい、サッと逃げてゆく。



大蛇おろちの力は、抜け殻にも宿やどる。蛇のおには、おのが認めた者にしか、抜け殻を渡さない。


もし他の者の手に渡れば、抜け殻は力を失う。あるじの元へ戻れば、再び力を持つ。



センが持つ抜け殻は、マルの手から離れた。しかし、貸し出されただけ。マルがみづから、センたちの身を案じて、持たせた。そのことは、大蛇も知っている。だから助けた。


ひと足先に良村よいむらに戻ったが、水にいる限り、わざわいが降りかかることはない。




良村は新しい村だが、狩り人と釣り人には、良く知られている。村長のシゲ、きこりのカズ、犬好きのノリ、商い人のシン。この四人は特に。


カズの作る舟は強く、美しい。人にも犬にも、優しい作りになっている。だから、パッと見分けがつく。



良村の舟、みよしに犬。その犬の首には、フワリと布が。そんなこと、他ではしない。


舟の違いが分らなくても、首に布を巻いた犬が乗っていれば、ぐに分かる。



ぶつかってしまっても、どうしようもなければ責められない。狙ってぶつかれば、ただでは済まない。


狙ってぶつけて、犬が水に落ちでもすれば、命は無い。そんな噂が、まことしやかに囁かれている。




スイィィ、スイィィと、何事もなく進む。優しい風に吹かれ、気持ちよさそうなノリコ。慣れた手つきで、舟を操るセン。すれ違う舟人たちに、ニッコリ。


すれ違う舟の人たち。なんとなく、避けてるみたいだ。ノリコは尾を振って、楽しそうだけど・・・・・・。



蔦山での、張り詰めた感じ。あれは、何だったのか。ついさっきのことなのに、遠い昔のことのよう。


きっと良村の人たちは、戦い慣れているんだ。人だけじゃなく、犬も。



考えてみれば、いろいろ変だ。良村には、女の人が少ない。コノさんと、タケさんだけ。


口がきけない、話せないのは、女の子ばっかり。他の子も、良村の人は避けないのに、オレたちは避ける。


男の子たちは、なんとなくだけど、大人みたい。それに、女の子を守ろうとする。




「どうした、タカ。考え事か?」


「はい。・・・・・・みんな、良い人です。」


「ん?・・・・・・そうか。」


みんなが、どこの誰をさすのか、分からない。


「センさん。オレ、犬が欲しいです。犬と狩りが出来るように、なりたいです。」


「そうか。・・・・・・オレは釣り人だからな。そういうことなら、タケかムロに聞け。」


「えっ、と。シゲさんは。」


「シゲは、誰かと狩ってた。シゲコを引き取ってからだ、連れて行くようになったのは。」


「そう、ですか。」


とっても懐いているけど、長いのかな?




仔犬の時から、知ってますからね。元の飼い主が、育犬放棄して、エサをやらなかったので・・・・・・。


小さいコは、犬でも人でも、放っておけないタチなんです。


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