表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
良山編
196/1571

6-30 濃霧に注意


「ノリコ。どうした、何かいるのか?」


「クゥゥン?」 イルケド、ネコダヨ?


「・・・・・・敵じゃ、なさそうだな。」


「ワンッ!」 ミカタデス!




「帰るぞ、タカ。」


「はい。父さん、いってきます!」


キラッキラの、ニッコニコ。


「気をつけてな。センさん、倅を頼みます。」


タカの頭を撫でて、父は頭を下げる。


「わかった。」


「セン。落ち着いたら迎えに行くと、ツネに。」


倅でも、娘でも。子を思う気落ちは同じ。


「伝えるよ。」


ニコッ。




軽い足取りで、山を下りる。敵を遣り過ごしながら、ゆっくり、ゆっくり。登るより、下りるほうが危ない。転げ落ちれば、見つかってしまう。


舟だ。木に立てかけただけなのに、見つからなかったんだな。良かった。



「クゥ。」 トマレ。


いる。悪いの、二人。・・・・・・四人!


「待て。」


タカの肩を掴み、低く小さな声で言った。


「えっ。」


なっ、なに。なに、なに?


「来い!」


ススッと隠れ、待つ。・・・・・・いた!




・・・・・・大蛇おろち、だっけ。村に残って守るんじゃ、ないの? マルから離れるなんて、何があった。


「そう、怖い顔をするでない。このままでは見つかる。我が霧を出し、隠そう。」


隠すって、どうやって。


「こうやって。」



地の底から、冷たい何かが溢れ出た。霧が出て来たな。そう思ったら、濃い霧に包まれた。



「オイ、止まれ。」


ボチャン。ブクブクブク・・・・・・。


「オイ!」


ボチャン。ブクブクブク・・・・・・。


「な、なんだ。なにがっ」


ボチャン。ブクブクブク・・・・・・。


「だ、誰か。いなっ」


ボチャン。ブクブクブク・・・・・・。





クンクン。うん、いない。


「クゥ、ヮゥ。」 イクヨ、サア。


悪い人は大蛇に任せて、サッサと行こう。


「タカ、行くぞ。」


「はい、センさん。」



子狐の川に舟を浮かべ、乗り込む。スゥゥと、何かに引かれるように進んだ。



「わぁぁ、早い。」


「流れに乗ったんだ。」


に、しては・・・・・・。


「クゥン?」 ドウシタノ?


大蛇の子かな? 小さいのが、引っ張ってくれてるよ。だから早いんだ。


「ノリコの力か?」


トタトタッ。クイッ。


「ん、これか?」



マルが貸してくれた、蛇の抜け殻。そういえばノリ、言ってたな。『蛇の抜け殻は、御守りになる』って。


そうか。オレには見えないが、守られているんだな。帰ろう。帰って、お礼を言おう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ