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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
良山編
195/1570

6-29 決まったぁぁぁ


風見かぜみがどんなに大きくても、つわものを送り続けることは出来ない。また、兵が多ければ多いほど、食べ物が要る。


近くに村があれば奪えるが、ない。だから必ず、底を突く。・・・・・・甘い、のか?



「セン。なぜ、そう思う。」


「風見は寄せ集め。はじめから、使い捨てる気だ。」



確かに。風見は寄せ集め。早稲わさは戦い慣れているからか、暴れない。しかし、他は『もっと寄こせ』と大騒ぎ。そりゃそうさ。命がけで戦っているのに、食べ物を少ししか貰えない。


・・・・・・なら、どうして?



「この暑さだ。腐るのが早い。血の匂いを嗅ぎつけ、熊が増えた。違うか?」


「その通り。増えた。」



夏の熊は痩せている。腹ペコで、ダルそうにしている。いつもなら、川に入って魚を捕る。今は、捕らなくてもむくろがある。



「骸で腹が膨れた熊は、森へ戻る。ってことは、だ。」



人の味を覚えた熊が、森の中をうろついている。危なくて、助っが来られない。人が来なければ、物も。


蔦山の村が豊かでも、いつか底を突く。そうなる前に動くだろう。



「待っているのか!」


「そうだ。戦ってのは、長を殺せば終わる。長ってのは、村を守るモンだ。良い長ならギリギリで、必ず出て来る。」



早稲の長みたいなのは、真っ先に逃げるけどな。蔦山の長は、良い長だ。村を守るために、備えている。釜戸山の灰が降る村じゃ、知られた話さ。


早稲も風見も、戦を仕掛ける前に、いろいろ調べる。調べ尽くす。


他の村や国と、あまり付き合いがないこと。蔦山が豊かな山だということ。長の娘が身重で、良村よいむらにいること。子がいくらか、娘について行ったこと。



「まさか、良村に!」


「いいや。」


「良かった。」


「シシを討て。終わらせるんだ、長。」



迷っていられない。そうだ、終わらせよう。良村から、多くの矢が届けられた。毒も、傷に効く草も。


届けられた食べ物の中には、干し貝もあった。かゆに入れて、みんなで食べよう。それから仕掛ける!



「ありがとう、セン。」


「ワン、ワワン。」 キメロヨ、ツタヤマノ。


長を励ましてから、クイッと横を向いた。






「いつまで隠れてるんだ、ネコ。オマエ、神の使いだろう。しっかり働け。しっかり守れ!」


「なっ! 犬よ。見えるのか。」


「見える。それよりネコ、気づいてるんだろう? この山、モヤモヤしてるぞ。」


こ、コヤツ。ただの犬では無い。


蔦神つたのかみの使わしめ、ミャアだ。」


「良村の釣り人、ノリの犬。ノリコだ。」


「ノリコ。蔦山に残って」


「断る!」


「えぇぇぇぇぇぇ。ちょっとくらい」


「ノリさんと離れて暮らすなんて、嫌だっ!」


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