6-16 ドンブラコ
守り人の村から、狩り人の村。源の泉から舟に乗って、良村へ。
マルは山育ち。舟に乗ったのは、ずっと前。北山から逃げるために、乱れ川まで行ったものの、どうすることも出来ず、川面を眺めていた。
岩割からの帰りだったノリに声を掛けられ、乗せてもらったのが初めて。
乱れ川から深川。山裾の地に入って、ビックリ。パッと広いところに出た。しばらく進んで、蛇川に入った。
狭くてグニャグニャしているから、蛇川なんだよって、ノリさんが。それから北川に入って、北山に着いた。
舟を下りるまでは、とっても楽しかった。でも着いちゃった。それから、舟に乗っていない。
久しぶりに乗った。楽しかった。鳥の川は乱れ川とは違って、鳥が多い。だから鳥の川なのかな?
段の滝は牙の滝みたいに、ガアァって感じじゃない。それに水が青く光って、水が落ちて白くなってた。木の緑と、青い水と、白い水。なんだか、フワフワした。
深川と早川は、少し似てる。山裾の地に入って、バッと広くなった。違うのは、流れ。とっても早かった。ノリさんも、シゲさんも、ずっと漕いでた。
底なしの湖は怖い。マルコを抱きしめて、小さくなった。そしたら、ここには大きくて美味しい魚が、いっぱい泳いでるんだよって、シゲさんが教えてくれた。
マルコより大きいってことは、ないよね。どんなだろう。
鮎川に入って、ビックリ。魚、魚、魚。キラキラ、キラキラ。いっぱい泳いでいた。川の辺で釣りをしてる人が、手を振ってくれた。いっぱい釣れるんだろうな。
森川は静かで、優しい川。良山の頂から流れているんだって。吸い込まれるように、森のほうへ。
森に入る時、スッと。何かを通ったような、そんな気がした。奥の山の森の中って、美しい。同じ山裾の地の、奥にあるのに。北と南とじゃ、違うんだなぁ。ウットリしちゃった。
初めて見る、いろんなもの。ドキドキ、ワクワク。楽しくて、嬉しくて、ずっと舟に乗っていたいな。なんて思っていたら、滝の音が聞こえた。
「さあ、着いた。」
ノリさんが、舟から下ろしてくれた。
「川は頂まで続くがな。舟を両から、同じだけ引っ張らないと、壊れるんだ。」
へぇ、そうなんだ。キョロキョロ。あれ?
「ここからは、歩くぞ。おいで、マル。」
舟をひっくり返して、頭の上に。シゲさん、力持ちだなぁ。
ゆっくり、ゆっくり歩いた。険しい所は、ノリさんが抱えてくれた。マルコはノリコが咥えて、ヒョイッと。
「シゲ、ノリ、ノリコ。君は、マルだね。おかえり。」
「キャン。」 ココニモイマス。
「ん? ノリ、またかい?」
「マルコだ。マルの犬だよ。」
「そうか。マル、マルコ。オレはカズだ。よろしくな。」
頷くと、優しく撫でられた。ニッコリ。
「キャン。」 ヨロシク。
マルコ。尾を振り振り、ご挨拶。