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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
乱雲山編
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5-92 神様は宴が好き


魂迎湖たまむかえのみずうみは、とても大きい。山の上にあるのだが、その山は深く、険しい。


人だけではなく、獣も近づかない。水を飲もうにも、踏ん張る地が・・・・・・。首をうんと伸ばしても、舌が届かない。それどころか、湖へ真っ逆さま。上がることも出来ず、力尽きる。


獣は賢い。だから、近づかない。鬱蒼うっそうとした森を抜け、魂迎湖へ来るのは、人だけ。




魂鏡社たまかがみのやしろは、訪れる者を喜び、迎える。人、妖怪、獣。何でも、誰でも。




最も近いのは、鑪山たたらやまにある村。言うまでもなく、近づかない。湖のほとりは、切り立った険しい崖。うっかり踏み外せば、根の国へ。


魂鏡社の祝人は皆、鑪山で生まれ、育った。にも拘わらず、来ない。畏れ多いと。




次に近いのは、滅ぼされた村々。跡地はボロボロ。地は裂け、高く盛り上がり、住めない。泉は涸れ、川は干上がり、田も畑も、作れない。


住めないとなれば、暮らせない。作れないとなれば、暮らせない。あの地に再び、村が作られることは無い。




その次に近いのは、蔦山にある村。魚川を下れば、鳥の川に出る。上がれば、鳥の谷。熊実にシシの山。山裾の地には、獣山。村が多い。国もある。


人よりも獣が多い。それも、小さな獣。となると、行かない。遠いとはいえ、川をゆけば楽なのだから。






いつまでも嘆いていられない。気を取り直し、述べ、伝えることに。


魂鏡神たまかがみのかみ。使わしめハクと共にウンウン呻られ、悩まれ、連ねたもうた言の葉は・・・・・・。



魂迎湖は、根の国へなど、繋がっておりません!



夏でもヒンヤリ、シットリ。そんな豊かな森を抜けると、広がる湖面みのも


疲れも吹っ飛ぶ、美しい眺め。他に比べるものも無い、すぐれたおもむきことに優れ、抜きん出ております。



さらに! 魂迎湖の南。魂鏡社の振る舞い水は、乾いた喉だけではなく、心も潤す、冷たい湧き水。


病知やまいしららずで、心も体も健やかになると、良い噂が。 ←あくまで、噂です。



みなさま、お誘い合わせのうえ、お越し下さい。






鑪神たたらのかみ、及び使わしめヤイバ。鑪山銘菓『どんぐりクッキー』を持って、御出座おでまし。


蔦神、及び使わしめミャア。蔦山名物『りょくとう焼き』を持って、御出座し。


三柱みはしら揃い、お茶会。使わしめたち、歌と舞いを披露。



釜戸神、及び使わしめポコ。釜戸山名物『出で湯団子』を持って、御出座し。鑪神、出で湯団子に御満悦。


山守神、及び使わしめシズエ。銘酒『霧雲』を持って、御出座し。


銘菓、名物、銘酒とくれば・・・・・・。魂鏡社に現れ出られた神々、宴を楽しまれた。



平和が一番!


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