5-89 ん?
遣り過ぎたか? まぁ良い。
「シゲ。一つ、聞いても。」
「何だい?」
ニコッ。
「此奴等。再び仕掛けるような動きをすれば、どうする。」
「消す。村でも国でも、長と倅が消えれば、マシなのが継ぐ。そういうモンさ。」
ザワッとした。特に三鶴。見てるからな、近くで。
何があったか知らない。ツウだったか? 娘を三鶴の長に差し出そうとして、逃げられた稲田の村長。どっか、いったらしい。
逃げたか、死んだか。で、稲田の狩長が、長になった。それから何だかんだで、長と倅が討たれた。その次に、長になったんだよな、アンタ。
他のも震えてるぞ。何にせよ、こうも怯えられちゃぁ、これからに響くな。良村は新しいから。
ノリの犬好き繋がりで、馬守、草谷、岩割。センは蔦山。シンは木下繋がりで、中井、稲田、大田、草谷。カズは山繋がりで、川田、茅野。
少しづつ、良い繋がりが。なのにオレが壊して、どうする。
「思い違い、しないでくれ。オレは、いや、良村の皆、戦が嫌いだ。穏やかに、和やかに暮らしたい。だから、出た。」
嘘じゃない。信じてほしい。
「そうだな。早稲がどういう村なのか、他所の人と呼ばれる人が、どんな扱いを受けたのか。あの時、釜戸社にいた皆、知っている。」
シキ。そうか、知っていたのか。それでも、受け入れてくれたんだな。
「良村に逆らおうとは、思わん。」
「助け合おう。それが良い。」
北山と三鶴の長が、声を裏返しながら言った。
「好き好んで戦を仕掛けるようなの・・・・・・。いたな。」
心当たりがある長、ビクッ。
「まぁ、禍や妨げにならないなら、付き合うさ。祝辺の守だって、それを望んでる。『助け合い、話し合って、生きよ』って。」
「その通りだ。戦を仕掛けた玉置、北山、東山。川北、豊田、三鶴。他にも、分かるな?」
守り長カイ、良く通る声で問う。
「助けようじゃないか。なぁ、みんな。」
岩割の長セキ、ニッコリ。目は、笑っていない。
「わ、わかった。」
「ん?」
「よろしくお願いします。」
玉置の長、涙目。