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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
台石編
1613/1632

19-24 蛇の滝登り


人として誕生したなぎは、あらたな一族に血を奪われて死亡。と同時に実行条件を満たし、カーの血が和に流れ込む。


はじまりの一族に生まれ変わったのだ。先代カー王が創造した『保留』の才によって。




はじまりの一族は生きるために命を吸い、楽しむためにたましいを奪う。嗜好品しこうひんとして血を飲んだり、食事する事もある。


その多くは料理好き。



和は育ちざかりの食いしん坊。食べる事も料理する事も好きで、お手伝いを通してイロイロ会得えとく。食材に困る事もない。


特質系、保存の才で広げられた空間は時間停止機能付き貯蔵庫。生物は入れられないが、和が選びにえらんだ美味おいしい物がタップリ入っている。






ずは団子だんごむらさきの汁をつけて焼いたの、あんつき、葛餡くずあんを掛けたのもイイね。」


ジュルリ。


「タルシェ沖の海底で切り刻んだ、あのたこを使って出汁だし団子も作ろう。」


ウットリ。


「チーズや燻製くんせい肉をぜ込んで焼いたパン、カスタードクリームをり込んだパンも捨てがたい。」


うぅん。


「葉物野菜、トマトもある。薄切りパンにバターを塗ってイロイロはさもう。」


うふふ。


「お祭りだもん、食べやすいモノが良いよね。」


ルンルン。






清和きよな和音かずねが分かったのは『団子』だけ。


他は見当もつかないが、それらが和の好物こうぶつである事はわかった。






「そうですね。」


尻尾パタパタ。


「とっても美味しそうです。」


蜷局とぐろを巻いてシュッ。






和は気にしない。力をふるたびに少しづつ、浄化範囲が広がっている事を。


和は知らない。禍津国まがつくにの民や裁きを待つおにが光の円柱に触れ、完全消滅している事を。






「収獲祭だもの。他のときから、は来ないね。禍津国だもの。」


・・・・・・ん。






和は今、初めて気が付いた。


ココは禍津国。禍津国のモノを口にすれば中津国なかつくに、人の世へも隠の世へも戻れないと。






「でも、壁の中は清らだよ。」


外は知らないケドね。


「和音、一度ひとたびで良いの。中津国へ戻れるか、ためしてくれる?」


「はい、喜んで。」






和音は清和ではなく、おのが頼られた事がうれしくて嬉しくてたまらなかった。だからボンと元の姿になり、真中まなかにある滝を登る。


登り切ったら頭突ずつきして、そのまま中津国へ。






「コレコレ、起きよ。」


ブランが和音に声を掛ける。






中津国から禍津国へ入る時は小さくなって、冀召きよしの家から飛び込んだ。けれど禍津国から中津国へ入る時は、その逆。


元の姿で飛び込んだ。



体が大きければ大きいホド、背負うモノも大きくなる。二国の境を越えるのは難しくなる。


だからブランは『小さくなって』と、和音に分かるように伝えた。






「うぅん、ブサブサしないでぇ。」


頭をつつかれ、クぅネクネっ。


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