19-24 蛇の滝登り
人として誕生した和は、新たな一族に血を奪われて死亡。と同時に実行条件を満たし、カーの血が和に流れ込む。
はじまりの一族に生まれ変わったのだ。先代カー王が創造した『保留』の才によって。
はじまりの一族は生きるために命を吸い、楽しむために魂を奪う。嗜好品として血を飲んだり、食事する事もある。
その多くは料理好き。
和は育ち盛りの食いしん坊。食べる事も料理する事も好きで、お手伝いを通してイロイロ会得。食材に困る事もない。
特質系、保存の才で広げられた空間は時間停止機能付き貯蔵庫。生物は入れられないが、和が選びに択んだ美味しい物がタップリ入っている。
「先ずは団子。紫の汁をつけて焼いたの、餡つき、葛餡を掛けたのもイイね。」
ジュルリ。
「タルシェ沖の海底で切り刻んだ、あの蛸を使って出汁団子も作ろう。」
ウットリ。
「チーズや燻製肉を混ぜ込んで焼いたパン、カスタードクリームを練り込んだパンも捨て難い。」
うぅん。
「葉物野菜、トマトもある。薄切りパンにバターを塗ってイロイロ挟もう。」
うふふ。
「お祭りだもん、食べ易いモノが良いよね。」
ルンルン。
清和と和音が分かったのは『団子』だけ。
他は見当もつかないが、それらが和の好物である事は解った。
「そうですね。」
尻尾パタパタ。
「とっても美味しそうです。」
蜷局を巻いてシュッ。
和は気にしない。力を揮う度に少しづつ、浄化範囲が広がっている事を。
和は知らない。禍津国の民や裁きを待つ隠が光の円柱に触れ、完全消滅している事を。
「収獲祭だもの。他の世から、は来ないね。禍津国だもの。」
・・・・・・ん。
和は今、初めて気が付いた。
ココは禍津国。禍津国のモノを口にすれば中津国、人の世へも隠の世へも戻れないと。
「でも、壁の中は清らだよ。」
外は知らないケドね。
「和音、一度で良いの。中津国へ戻れるか、試してくれる?」
「はい、喜んで。」
和音は清和ではなく、己が頼られた事が嬉しくて嬉しくて堪らなかった。だからボンと元の姿になり、真中にある滝を登る。
登り切ったら頭突きして、そのまま中津国へ。
「コレコレ、起きよ。」
ブランが和音に声を掛ける。
中津国から禍津国へ入る時は小さくなって、冀召の家から飛び込んだ。けれど禍津国から中津国へ入る時は、その逆。
元の姿で飛び込んだ。
体が大きければ大きいホド、背負うモノも大きくなる。二国の境を越えるのは難しくなる。
だからブランは『小さくなって』と、和音に分かるように伝えた。
「うぅん、ブサブサしないでぇ。」
頭を突かれ、クぅネクネっ。




