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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
台石編
1611/1620

19-22 楽しみね


タルシェおきで行われた公開処刑の話は、とても恐ろしいものだった。けれど清和きよなは思う。


そんな扱いを受けるような、悪い事をした生き物が悪いと。



清和はなぎと離れ離れになる事を、何よりも恐れている。海がコワイと言ったのは、処刑話が理由ではナイ。


海に投げ出され、波にまれた妖怪におのを重ねて怖くなったのだ。






「海はね、湖より大きいの。泳ぎ切れなければ疲れて、ブクブク沈んじゃう。だから泳ぐならかこいの中。うん、収獲祭が終わったら作ろう。」


「クゥ?」 シュウカクサイ?






収獲祭は農耕儀礼の一つ。主に農作物の収獲に感謝し、翌年の豊作を祈念きねんする。


本格的な収穫期を前に行われる祭りと、収獲が終わってから行われる祭りがある。






「そう、収獲祭。楽しみね。」


「ハイッ。」


尻尾フリフリ。






過酷な環境は成長、思考などに悪影響をおよぼぼす。


清和は十年間、和を信じて耐え続けた。優しく撫でられた事、抱きしめられた事。共に過ごした幸せな日日ひびを思い出しながら。



清和は考える。和が幸せなら己も幸せ。和を悲しませるのは悪い事。和を困らせるヤツ、怒らせるヤツは敵。許さない。



アンリエヌの言の葉は難しくて、よく分らない。けれど聞いて覚える。和の言う事は正しいから。離れている間に少し、姿が違っていても気にしない。


和は和だから。






「どっどっどっ、どうなっているんだ。」


あの柱、大きくなるのか。広がるのか。


「このままではやしろが、母さまの社も消えてしまう。」






土壌調査を行い、品種改良したアレコレを植える。生長せいちょうを早め、収獲物を加工したら貯蔵庫に入れる。


その繰り返し。






「和さま、ご覧ください。魚です。」


幼児の姿に化けた和音かずねはしゃぐ。






右牙滝うきだきから禍津国まがつくにに入った和音は、円柱の中心が冀召きよしである事に気付いた。直ぐに中津国なかつくに、人のときに戻って冀召にドボン。


そのまま湖底へ。



あせった。どんなに探しても、穴も亀裂も見当たらない。それでも探して探して、探し回った。






「上から水を引いた時、まぎれ込んだのかしら。」






和音は諦めなかった。和が戻ったなら、きっとブランがそばにいる。


いつだったか、大和やまとが言っていた。和さまが御生まれ遊ばす前から、ずっと見守っていたと。



探した。霧雲山系のふもとをグルリと一周し、どんなに突っ込んでもやぶれない『何か』を見つけた。そして思い出す。


和が姿を消したのは、祝辺はふりべだった事を。






日和ひよりが喜びそう。」


あぁ、なんと御優しい。






祝辺から地割崖ちわりがけ地涯滝ちはてだき滝壺たきつぼを一周して浮上。大木おおきの枝にまり、己を見つめるブランを発見。


ぐに近づき、和が光の柱に閉じ込められていると訴える。



ブランはあきれながら和音に『どうなるか分らないが、小さくなって冀召の家から飛び込め』と伝えた。実行に移した結果、円柱の中へ入る事に成功。


良かったネ。






「増えると良いですね。」


「そうね。」


和に頭を撫でられ、デレェ。


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