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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
台石編
1610/1620

19-21 こんなモンかな


暗く、禍禍まがまがしい静けさに支配されている場所。それが禍津国まがつくに。ドキドキもワクワクもしない、そんな場所。






「黄色く輝いている。」


清和きよなが呟く。


「そうね。水車も造ったし、小麦から収獲しましょう。」


「はい、なぎさま。」




清和は、まだ人の姿にはナレナイ。だから精一杯、応援する。




「ふぅ。こんなモンかな。」


忍びもビックリの早さでシュシュシュと動き、小麦の収穫を終わらせた。


鎮森しづめもりの民が望めば、この地に。いいえ、その前に権利関係をハッキリさせなきゃ。」






人のときおにの世も中津国なかつくにるが、静森の民は人の世にとどまっている。正確には山守や祝辺はふりべとらわれ、隠の世へ行けない。


そんな隠たちが禍津国に移れば、どうなってしまうのか。和にもサッパリ分からない。けれど、きっと良く無い事になるだろう。






「飛び地でもめるもん。」


タルシェがアンリエヌ領になって随分ずいぶんった。なのに今でもチョッカイを出す国がある。


「島でも揉めるもん。」


領海や領空を越える前に警告。従わなければ即、化け王 謹製きんせい『攻撃目標自動 追尾ついび装置』が敵を捕捉ほそく


情け容赦ようしゃなくドッカァン。


「もう、嫌になっちゃう。」


来ました、苦情。海の主神から。






ポセイドンはクロノスとレアの子。クロノスの死後、支配領域として海を引き当てた大地・泉・地震・馬の神。


常に三叉みつまたほこを持ち、青銅せいどうのヒズメと黄金のタテガミを持つ馬が引く戦車に乗り、海の怪物をしたがえて海原を走る。






「アンリエヌの民が海に、いろんな物を不法投棄したんじゃないのに。」


清和の背を撫でながら愚痴ぐちる。






和は頑張った。タルシェで暮らす、人には姿を見せない愉快な仲間たちと共に清掃活動を。そんな時、信じられない事が起こる。



わる乗りしたトリトンがパラリラパラリラ、ではなくホワホーボワホーと法螺貝ほらがいを吹き鳴らしながら急接近。


均衡きんこうくずした小舟が転覆。おさない妖怪が投げ出され、そのまま波にまれてしまった。






悪気わるぎはアリマセン。ちょっと驚かせるツモリでした。そう言われて『はい、そうですか』って引き下がるワケないじゃん。殺妖未遂と傷害罪、迷惑防止条例違反で公開処刑してやったわ。」






沖で斬首後、頭部を浮標ふひょうに固定。下半身を三枚に下ろし、血に釣られて集まったホホジロザメに食わせる。



両腕、胴体が投げ込まれるたび、助けを求めるトリトン。半狂乱になるアンフィトリテ。


ポセイドンは妻を守ろうと、イルカに命じてアンフィトリテを遠ざけた。



たっぷり苦しめてから泣き叫ぶ頭部を、興奮したサメの群れにポイッ。最期さいごを見届けた父は静かに海底へ。






「だから隔離かくりしたの。」


国際問題にならないように。


「海、コワイです。」


クゥゥン。


「海も川も湖も、おだやかに見えても引き込まれるわ。泳ぐのが上手うまくても気を付けてネ。」


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