表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
台石編
1607/1616

19-18 見れば判るでしょう


ジロの孫、なぎ鎮野しづめのを出た。人の子なのに使わしめを、おにを従えて。


人のもりの守付で、とつ守が後見うしろみ祝社はふりのやしろの離れでは暮らさず、冀召きょしの近くに家を建てて暮らしていた。



家を建てたのはオビスでしょう。けれど、あの力。


いつだったか、ずっと前。空から光が。小柄こづかで光のたま深山みやまで光のつるぎを持つ子が生まれた。


あの子たちと同じ。






「新しい化け王は和神なぎのかみ。御犬は使わしめ、名は清和きよな。」


御目から光がスゥっと消えてゆく。


素戔嗚尊すさのおのみことが御犬の、首からげていた守り袋を欲しがり為さってね。閉じ込めて。」


イロイロとひどい事を。






言の葉に出来ないような事をイロイロと、どこかに閉じ込めて為さったのですか。


そうなのですね。






「隠になった御犬は認められ、和神に仕える事になったの。とても幸せそうに尾を振っていたわ。」


そうでしょう、そうでしょう。


「『人のときへ戻りましょう』と。御犬も『はい』と。なのに、はぁ。」




当たって欲しくナイ事ほど、当たってしまうんですね。でも、外れてほしい。




「和山の辺りに、その下に『家を』と。」


はぁ?


「隠の世も中津国なかつくに。でも、いくら何でも和山なぎのやまは無いわ。」






中津国には人の世と隠の世が在り、和山は隠の世にそびえる霊峰。


隠の世のみね、そのいただきを守るのが和山。御坐おわすは、はじまりの隠神で在らせられる大蛇神おろちのかみ



隠の世、霧雲きりくも山には狗神いぬがみ乱雲みだれぐも山には鼠神、天霧あまぎり山には烏神が御坐す。


三柱の御力により清められ、大蛇神を通して、やまと隠の世は守られている。






「和神は御存じなのね。だから『人の世、祝辺はふりべ。冀召の真下にやしろを建てましょう』と。『いろいろ手を加えますが、よろしいか』と。」


ホッ。


「・・・・・・なのに。」


ウルッ。


「『はい、どうぞ。お好きなように』と。」


素戔嗚尊が。






終わった。禍津国、終わった。



和神は天津国より授けられた光の力と、強い祝の力を幾つも御持ちだ。加えて化け王。そう、化け王。


祝の力とは違う、けれど恐ろしく強い御力をふるわれる。それが化け王。



『お好きなように』なんて言ったら、どんな事になるのか。あぁ、考えただけで震えが止まらない。


そうだ、あの柱。ははっ。今は霧雲山がスッポリ入る大きさだけど、そのうち。






「あの柱、広がるでしょうね。」


つぶくようにおっしゃる、伊弉冉尊いざなみのみこと


「はい。」


としか言えないほう


「初めは霧雲山、それから霧雲山のべる地。」






悲愴ひそう面持おももちを為さる伊弉冉尊。不安げな面持ちをする投。


投は中津国、人の世で暮らす隠。けれど伊弉冉尊は伊弉冉社いざなみのやしろから、禍津国まがつくにから御出で遊ばない。



いづれ中の東国ひがしくにと同じ大きさになるだろう。けれど叶うなら、霧雲山の統べる地がおさまる広さにとどめてほしい。


そう願わずにはイラレナイ。






ドタドタドタドタ、ドンッ。


「母さま、御覧ください。あの光、何ですか。」


イロイロやからし、高天原たかまのはらから追放された素戔嗚尊。ドドンと登場。


「『何ですか』って、見ればわかるでしょう。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ