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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
乱雲山編
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5-84 醜悪


「いや、待ってくれ。そんな、そんなことは、ない。」


「そうだ。我らとて、戦は望まぬ。」


「話し合うために来たのだ。」


「その通り。話し合おうじゃないか。」


「そうだ。話し合おう。」



玉置、北山、豊田、川北、東山。五人の長が、争うように言った。何というか、醜い。愚かにも程がある。



三鶴の長は思った。稲田、大田、草谷の村と、対対たいたいにしておいて良かった、と。


中井と木下は、酷かった。稲田が他の村と話し合い、助けた。三鶴の村は、相変わらずだが・・・・・・。他の国に比べれば、恵まれている。



村といっても、広い。小さな村が集まって、大きな村になったのだ。欲を出して、国にした。国にはしたが、中井も木下も、三鶴を討つ気だ。良い折を狙って、耐え忍んでいる。


稲田、大田、草谷の輪に、中井と木下が加われば、三鶴など滅ぶ。そうなる前に、対対に。戦を仕掛ける“ゆとり”など無い。今は、国。外より、内。



「三鶴。何か、言うことはないのか。」


玉置の長が、助けを求めた。


「三鶴は、豊かな三つの村に助けられ、何とかなっている。食べ物を出すことは出来ない。しかし、作付けの手助けなら。」


手伝うだけ。終われば、戻す。


「どうだろう。その、育った子を、ウチに譲って欲しい。」


食らいついたら離さない。それが、玉置の長。まるでスッポンのよう。


「断る。」


三鶴だって危ういのだ。内から攻められれば、アッサリと・・・・・・。




「育った子を譲れ、断る。話し合いの末、断られた。で、どうする、玉置。」


守り長に問われ、大人しくなった。



何でも力尽くで奪ってきた国だ。人が足りないなら、奪えば良い。そう信じて、疑わない。



釜戸山の、三人の長。中でも守り長は、釜戸社に最も近い。その長に見捨てられれば、終わる。


祝辺の守が来ない。変わりに来たのは、山守の長。つまり、この場にいる長の中で、最も強いのは、守り長。



「で、玉置の長よ。考えとは、何だ。」


シキが、低い声で問う。



玉置の長が溜息をついた。サラッと聞き流せば良いものを、とでも思っているのだろう。腹が立つほど、憎たらしい目をしている。


シキだって、負けていない。早く答えろ! 逃げられると思うなよ。という目をしている。



「・・・・・・人手を。」


やっと口を開いたが、何だ。何が言いたい。


「人手を?」


「ゆ、譲って。」


「譲って?」


「・・・・・・欲しい。」


「断る!」



手を貸してほしいというなら、分かる。しかし、譲れとは。人を何だと思っている!

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