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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
再生編
1499/1598

17-66 全てを受け継ぐ者


ひとさんも他の子と、そんなに変わらない。目も髪も黒くて顔も平たいし、見えたり聞こえないもの。


單も璨も見える目を持っている。でも違う。オビスやシロも気付かない、とても強い力を持つ何かが居るのに。






「きっと、あの子を産むために生まれたのね。」


六歳児が言う言葉では無い。


「そんな顔しないで。力は失うケド、ちゃんと長生きするから。夕と幸せに暮らすから。」






カー様が貴重な血を、はじまりの一族の血を分けてくださったのは。いやそう。そうだよね、化け王だもの。次代を望むのは当たり前。


だってさ、他にイナイもん。



はじまりの一族で王族で、生き残っている女性は一人。ウィ王女。カー様の姉だよ、腹違いだけど。


どんなに強い酒をあおってもドウコウできないよね。






「ナエ。生まれてくる子は赤い髪と、なぎ色の目を持っているのかな。」


「えぇ、そうよ。」


どうして知っているの?






赤い髪は赤みを帯びた黄色から金色へ、青い目は紫に変わるのだろう。カー様のように。


アンリエヌの民は皆、彫刻のように美しい容姿をしていた。けれどカー様は何というか、同じ人類とは思えない。アッ、違った。



御会いした事は無いが大王も王弟も、王妹も御美しいのだろうね。


この顔を初めて見た時は、それはもう驚いたよ。面影おもかげはあるけど、どう見ても違うってね。アハハ。






「その子の名は、そうだな。ナギ。」


「なぎ?」


「そう、ナギ。花は一日でしおれるけれど、茎や葉は食べられる。とても美しい草だ。」






次の化け王になるんだ。人として生まれ、死んで変わる。


はじまりの一族が生まれ持つ才は全て、カー化け王が収集なさった。ナギは、その全てを受け継ぐ。



田や沼に生え、根は土に固着する。


アンリエヌには咲かない、いや生えてもイナイ一年草。カー様の瞳と同じ、青紫の花を咲かせる生命力のかたまり






「良い名だわ。強くて優しい子に育ちそう。」


六歳児にする話ではない。六歳児が言う言葉でもない。


「ナエ、幸せにおなり。ずっと、ずっと見守っているよ。」


「エッ、父さん。遠くへ行くの?」


「違うよ。この御山から出る事は無いし、遠くへ狩りに行っても戻ってくるさ。でもね、母さんも父さんもナエより先に死ぬ。」


ナエがコクンと頷いた。


「單が居る、璨も居る。何より夕が居る。だから強く、美しく生きるんだ。」






はじまりの一族が持つ才は、その所有者が死亡することで継承される。恐らくナギは、この命が尽きた時に誕生する。


となるとカー様と同日、同時刻に死亡する事になるのか。



まぁ、それはソレで。今アレコレ悩んでも仕方が無い。生きているんだ。死ぬ間際まぎわ、後悔しないように生きよう。


それが生きるってコトさ。






「さぁて、そろそろ出掛けるか。」


單を連れてのぶを、先見さきみさまを御迎えに行かなければ。


「ナエ。母さんと璨を頼むよ。」


「はい。」






ジロが家を空けている間、オビスとシロが鎮森しづめもりからシッカリ守る。侵入者が居れば迷わず、速やかに殺処分。


・・・・・・する前に排除するだろう。



再生編でした。継承編に続きます。お楽しみに!

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