17-65 光の子
希望の子。そう呼んでいるが実のトコロ、その存在が恐ろしくて堪らない。
どう考えても『破滅へ向かっている』としか思えないから。
「どうしたモノか。」
カーは強い。この惑星に存在する全ての才を収集し、それを適切に管理しているのだから。
「もしかすると。」
収集した才を消滅させる気なのか。
有り得る。
化け王が短命なのは三歳で即位させられ、孤独と重責に押し潰されるから。そう考えられていた。けれど違う!
耐えられなくなるのだ。その全てに。
ギリギリだったカーを支えたのは、あの姉弟。
不老の才を持つルーと不死の才を持つエン。その才を収集したのはカーの遺志か、歴代の悲願か。
ところ変わって、やまと。霧雲山の統べる地。霧雲山系の一つ、鎮野。
「ナエ。母さまから言われた事、覚えているかな。」
「はい。『この守り袋を無くさないように、ずっと首から提げていなさい』って。」
ニッコリ。
「そうだね。」
ジロに頭を撫でられ、照れ笑い。
「アッ、隠さなきゃ。」
そうそう。
ナエは気付いた。祖母から母、母から己に受け継がれたソレは闇を祓うのではなく、清めるモノだと。
だからセッセと闇に近づき、ジュッジュと消滅して回った。
鎮野の皆が安心して暮らせるように。
「父さま。この力、強くなるの。」
ん?
「夕との子は、強い力を持つ子は長く生きられない。でも弱い力を持つ子はスクスク育つのよ。」
そうなんだ。
「子が死ぬ度に強くなるのって・・・・・・。」
ナエが俯き、唇を噛む。
ナエは考えた。強い力は体を中から壊し、その命を奪うのだと。けれど、その力は動かせない。
動かせないならドウする。
禍を齎すのは闇。その闇を清められるのは神、強い力を持つ使わしめ。清めの力を生まれ持つ祝。
己に清めの力は無いけれど、この守り袋があれば清められると分かった。
「闇を清めて回ったのに、末は変わらないのね。」
ガッカリ。
「でも少し、ほんの少し変わったわ。」
キラキラ。
「生まれるの。光の子が!」
んん?
ナエは六つ。
夕と契るのは、まぁヨシとしよう。けれどソレは少なく見積もっても六年後。まだまだ先の話だ。なのに、いや待て。
ナエには母から娘に受け継がれる、恐ろしく強い先読の力がある。
アッ、そうだ。この体にはカー様の、じゃない。はじまりの一族の血が少量だが流れている。
ナエはナタとの初めての子。單と璨にも祝の力が有るが、継ぐ子になったのはナエだけ。
「ナエ。その力、どう使う。」
継ぐ子になったのは夕と、祝人になる夕と生きるため。そう思っていた。
「この体にある力、全てを持って生まれるのが光の子。アンリエヌを救う、次の化け王。」
エッ!




