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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
再生編
1491/1603

17-58 いつでも


破落戸ごろつきは理解した。なぜおのに落ち着きがなく、他の人とは違う考えを持っていたのかを。






カチカチカチ、ボッ。




鎮森しづめもりの民が枯れ枝を集め、破落戸の回りに投げる。アッと言う間にうずたかく積まれ、最後に乾いた枯葉が撒かれた。


ソレに火打ち石を打つ。




「ア゛ァァッ。」


喉笛のどぶえを破られ、上手うまく息が出来なかった。


とても苦しかったが違う。生きたまま焼かれるのは、もっと苦しい。






鎮森の民たち、カヨも同じ。山守の民を殺しても殺しても一度ひとたびいだいてしまった憎しみは消えない。


ずっと、ずっと苦しみ続けるのだろう。



人は忘れる生き物だ。なのに忘れられないのは、それだけ闇が濃く、深いから。


心の中に渦巻いたソレが清められ、瞳に光が戻る事は無い。






「あっ、あの。」


オビスに捕まり、崖の上から刑場を見ていた。いや見せられていた祝女頭はふりめがしらが漏らした。


「臭い。」


そう言われると唇を強く噛み、耐えるしかナイ。


「言え。山守の生き残りは鎮野に、あの村にドレだけ残っている。」






鎮野を纏めているのは、人のおさでもあるやしろの司。


風を操る禰宜ねぎ、心の声が聞こえる祝が鎮野の民を。守りの力を持つ祝女頭、清めの力を持つ祝人頭はふりとがしらが鎮野の村を守っている。



守りの力を持っているのは、祝女頭ダケでは無い。祝人や祝女、継ぐ子の中にも居る。だから守りが弱まる事は無いのだが、殺されるとマズイ。






鎮野社しづめののやしろの、ずっと東に小さな村が。そこで暮らしているのが山守の生き残りです。知らずにちぎったのも、その村に閉じ込めています。」


鎮野社は知っていた。知っていてかくまったのは、山守の民がやまみ持ちだと知る前。


「ホウ。」


オビスの目がギラリと光る。


「ジロ。ジロさまが御暮らしなのも村外れですが、西の端。大泉や鎮森の力が届きます。」






アンリエヌでも魔物は、化け王城で暮らしている。アンリエヌの民は人の姿とは違う生き物が、化け王城で暮らしている事を知っている。


知っていて何も言わないのは化け王のおみだから。



ココがアンリエヌなら、オビスを引き取って育てる。けれど違う。この姿でも浮くのにオビスは、その姿をアレコレ言われればドウなる。


きっと酷く傷つき、引き籠る。そう考えた。






「続けろ。」


「はい。ジロさまは御姿が、他の人とは違います。なので村の真中まなかより外れ。鎮森に近ければ、その。」


「何だ。」


「いつでも。そう、思いました。」






ジロが村外れに家を建てたのは、村の真中だとオビスが気兼ねすると思ったから。


鎮野で暮らし難くなったら大泉、大泉で暮らし難くなったらふもとへ。モチロン逃げるのではナク移り住む。それダケ。






「これからもジロさまナタさま、ナエにもひとにもさんにも手を出すな。あの家にも近づくな。声を掛けられたり訪ねてきたら、嫌な顔をせず付き合え。」


「ハイッ。」


『社の司も同じコトを』と思ったが、黙ってうなづく。


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