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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
再生編
1486/1619

17-53 どうして閉じ込められなきゃイケナイの


鎮野しづめの先見さきみは母から娘へ、その命を懸けて引き継がれる。


生まれる前から名が決まっていて、生きられるのは二十くらい。なのに生まれてぐに親や兄弟と引き離され、御婆さまに育てられる。






「どうして。」



祝の力にはイロイロあって、母から娘へ受け継がれるモノは恐ろしく強い。命と引き換えにするか、娘の一人が受け継ぐ。



「知ってるんだから。」




兄さんの好きな子、ナエは先読の力を持っている。母から娘に受け継がれる、とても強い力。ナエは母さん父さん、弟、妹と暮らしている。


祝の力を持っているのはナエだけ。



ナエの父さまは姿が違う、他所よその山から来たジロさま。熊を一人で狩れる、とっても強い狩り人。


赤い目をした白い犲とオビスに慕われている。




「離れで暮らさなくても、御婆さまに育てられなくても力が弱まる事は無い。消える事も無いって。」




ナエが先読の力を持っている事はやしろの司、禰宜ねぎと祝も知っている。知っていて何も言わない。


もし何かしたらジロさまが直ぐナタさま、ナエたちを連れて大泉に移り住む。



ナエが首からげているのは良村よいむらの守り袋。元はナエの婆さまが大蛇神おろちのかみめぐし子から、良村を出る時に貰ったしな


その気になれば良村へ移り住める。




「気付いているのに戻してくれない。」




御婆さまは恐れている。


次の先見さまが、いつが生まれなければよしも生まれない。嚴が生まれなければのぶも生まれない。


なのにココから出さないのは、選ばせる気が無いから。



十二になるまで閉じ込めて、御婆さまが選んだ誰かと契る。娘が生まれるまで幾度いくたびも幾度も、何も感じない男と。


・・・・・・そんなの嫌。




「父さん、兄さんと暮らしたいよ。」




父さんは毎朝、声を聞かせてくれる。兄さんは歌を歌ってくれる。御婆さまはイライラしたり、ブツブツ言ったりするケド気にしない。


だって分からないもの。




「母さまには父さまが居たから、耐えられたんだね。」


良いなぁ。


「このまま老いて死ねば、この力はドウなるの。」


消えるのかな。






鎮野は根の国に繋がっている。だから山守も祝辺はふりべも、山守社やまもりのやしろ祝社はふりのやしろも鎮野には手を出せない。


社を通して話す事は出来る。けれど『同じ霧雲山に居るから』と呼び寄せたり、一人でも連れ去ればオシマイ。おにでも消される。



山守と祝辺には大泉、野比のび野呂のろより扱いに困る。それが鎮野。






「祝、社の司、禰宜が居れば先見なんて。」


居なくても良い、よね。


「清めの力を持つ祝人頭はふりとがしら、守りの力を持つ祝女頭はふりめがしらも居るし。」


祝人や祝女の中には先見、先読。闇の力を持つ者も居る。


「先見さまってナニ。」


強い先見の力があっても、これから起こる事が分かるダケ。見えるダケ。それを伝えて末を、ほんの少し変えられるダケ。


「ソレはソレでスゴイ事なんだろうけど、だからナニ。」


どうして閉じ込められなきゃイケナイの。


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