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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
再生編
1485/1598

17-52 子の成長は早い


ジロとナタの娘で先読の継承者、ナエ誕生。


パッチリお目目と口元はナタ似。他はジロ似。






「わぁぁ。」


ユタとよしせがれで舞と満の孫、夕が目を輝かせた。


「ちぃたぁ。」


ナエの頬を恐る恐る、そっとツンツンする。


「あっ。」


ニコッと笑われパチクリ。






夕は驚いた。嬰児みどりごに微笑まれ、全身がビビビとしたから。心拍数が上がり、顔と耳が真っ赤になる。


よわい一にして新生児に一目惚れ。



ませている、というワケでは無い。


大きな目をした嬰児なら居る。けれどジロと同じ瞳の色で見つめられ、ドキリとして思ったのだ。この子と居たいと。






「しゅき。」


「キャッキャ。」 


ナエも夕を好きになったのか、ご機嫌である。






ジロは思った。この子が育てば、カー王に似てくるのではナイかと。


ジロがソウなのだ。黒目黒髪で平たい顔をしていたのに、おのの体に戻ったら姿が変わっていた。



ナギの花のように青い瞳、ドングリ色の髪、加えて目鼻立ちがハッキリした顔をしていたのだ。驚くのは当たり前である。






「夕、ナエを頼むよ。」


夕の柔らかい髪に触れ、ニッコリ。


「うん。」


ジロの思いを理解したのか、大きくうなづきニコリ。






ナエは他の子よりハッキリした顔立ちになるだろう。ナタから先読の力を受け継ぎ、動けなくなるほど弱るかもしれない。


そんなナエを守れるのは誰か。



親は子より先に死ぬ。


生きている間は守ってやれるが、死んでしまえば守れない。だから年が近く、身元がハッキリしている男を傍に。そう考えた。






「♪ 見上げてごらん お空は一つ♪」


ナエと夕が手と繋ぎ、心を込めて歌う。






子の成長は早い。夕は七つ、ナエは六つになった。



ユタは次の社の司になる事が決まっている。嚴は先見の力を受け継いだ子、のぶを産んで直ぐ死んでしまった。


遺児はおきてにより、御婆さまに養育される。



男手一つで育てられた夕は時時ときどき、先見さまが暮らす離れへ行く。


生まれて直ぐに引き離され、父にも会えない妹のため。会いたくても会えない妹の心を守るため、父母が教えてくれたティ小のうたを歌う。






「♪ ずっと離れた 国へも行ける♪」


ナエと夕を優しく見守るナタとジロ。






ユタは朝、早く出掛けて暗くなるまで戻れない。だからナタもジロも可能な限り、幼子おさなごに付き添う。誰にも手出し出来ないように。


御婆さまからうとまれ、意地悪されるのは夕だけでは無い。先見さま同様、母から強い力を受け継いだナエも目のかたきにされている。






「♪ 心の翼 広げて飛ぼう♪」


歌い終わると、離れの窓から白い布が垂れる。


「またね。」


ナエと夕が手を振るとユラユラゆれた。






ユタは毎日、離れへ行く。もちろん顔は見られない。先見さまに直接会えるのはやしろの司、禰宜ねぎ、祝。姿を見られるのは祝人頭はふりとがしら祝女頭はふりめがしら。だから会えない。


けれど樹は知っている。父と兄から愛されていることを。


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