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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
再生編
1484/1597

17-51 全てを懸けて


ジロの子が生まれた。


ブランから報告を受けたネージュは執務室へ、大急ぎでカーの元へ向かう。






「良かった。」


生きておられる。


「どうした、ネージュ。」


笑いながら泣くネージュを抱き寄せ、優しく撫でる。






化け王は次代が生まれると同時に、その生涯を終える。収集は禁忌。他の才と違い、同時に現れる事はない。はじまりの一族でも。



カーがジロを助けたのは、その体を奪ったのは次代を残すため。


考えを変えたのは収集の才を受け継ぐ子を、どんなに可能性が低くても誕生させなければ守れないと知った時。



はじまりの一族は減りに減り、残っている女はウィだけ。母は違うが父は同じ。血の繋がりの濃い者同士の交わりは、優生学的見地から見ても好ましくない。



カーはウィに限らず王族を、はじまりの一族を嫌っている。


ルーとエンは例外中の例外。






「まだ先だよ。」


次代が生まれるのは。


「カー様。」


まだ、とおっしゃった。となるとジロの子ではなく、早ければジロの孫。


「才は万能ではない。この国を、アンリエヌの民を守るには要る。」


祝の力が。






天界の生き物も冥界の生き物も、その姿を見せる事はまれ。堕天使だって同じ。史上最強と謳われるカー王にも始末できない、完全消滅させられない存在。


それらが我が物顔でアンリエヌを闊歩かっぽする。



それダケではない。民を消耗品のように扱ったり、娯楽の対象にしたりと遣りたい放題。


抗議しようにも天界、冥界にも行けない。いや、正確には行ける。けれど不死の才を以てしても、生きて戻れるとは限らないのだ。






「私は王だ。民を、国を守らなければならない。」


より強い力を持つ次代を残さなければ、アンリエヌを守れないと知った。


「私の予知は残念ながら、外れた事が無い。」


「はい、存じております。」






天界、冥界の魔族がアンリエヌを荒らしている。


一匹でも厄介なのにヤツら、大挙して押しかけるんだ。迷惑千万な話だ。纏めて駆除できれば良いのに、その手立てがない。


今は。






「隠れた存在であるハズの神が、最高の支配者が俗物とは思わなかったよ。」


人類に禍福かふくを授ける存在だが、その権威を濫用らんようしてほしいままにする。


「はい。」


はじまりの一族が生まれ持つ才を、その才を全て収集なさったカー王にも成し遂げなれないなんて。


「でも一つだけ。」


それが希望的観測に過ぎないと笑われても、たとえ根拠が無くても実現可能を信じて突き進むしか無かったんだ。


「守らせておくれ。」


全てを懸けて。






未来は変わる。


予知する度に少しづつ変わっているが、それが良い方向にダケ変わるワケでは無い。イヤというほど思い知った。だから全力を尽くす。



何をドウ伝えても結局は丸投げ。次代が即位するのは、その命が消えた瞬間。欲しいのはうつわ


歴代化け王が集めに集めた才を、その思いを受け継ぐ器を求め続けた結果がコレだ。



済まない、なぎ


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