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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
再生編
1483/1602

17-50 力を合わせよう


オビスも鎮森しづめもりから出られない。けれど、これまで見えなかったモノが見えるようになった。


見えないモノもあるが、それが良いモノなのか悪いモノなのかは判る。






「あぁ、どうしよう。」


あの子は悪いモノでは無い、と思う。


「何かが憑いている、とかじゃナイんだ。」


なのに、そうか。


「他の村、山へ移るのか。」






ジロさまが生まれ育ったのは乱雲山。この山から離れている、祝辺はふりべもりとは違う何かに守られた山。


だから生まれた子も、ジロさまも子も同じように。



いや待てよ。この山を出入り出来るのは谷河たにかわの狩り人と、祝辺の守から許された二つの忍び。鎮森のおにから聞いた話だ。


その隠は隠の守から、とつ守から聞いたと言っていた。






「山で暮らす犬って、群れで守るんだよね。」


ドキリ。


「群れから追い出されたから、いつも一匹なの?」


あぁ、そうだよ。


遠吠とおぼえ、しないモンね。」


むなしくなるからな。


「一匹だと・・・・・・。」


何だよ。


「熊と戦えないよね。」






春の熊になら勝てる。けれど気が立っている夏、冬に備える秋の熊には勝てない。それでも、負けると分かっていても戦う時はある。


どうしても守りたい何かを守る時だ。






「そんな熊をジロさまは、たった一人で狩れるんだ。」


だから何だ。


祝社はふりのやしろには人の守と隠の守が居る。」


そうだな。


「人の守は人だから、その気になれば。」







隠の守は隠。どんなにジロさまが強くても、人とは違う何かを持っていても隠の守に勝てない。とでも言うのか。いや違うだろう。


それに知っているぞ。鎮森で暮らす隠に、とつ守にもせまったのを。ジロさまに手を出さぬように。







「とつ守は強い。」


鎮森に認められた守だからな。


「どんなに強くても数で負ける。」







隠の守は多い。どれだけ居るのか分からないし、どんな力を持っているのかも分からない。


一隠二隠なら何とでも。けれどたばになれば、とつ守でも止められないだろう。



山の犬だって同じ。


春の熊でも一匹なら勝てるし、夏や秋の熊だって追い払おうと思えば追い払える。でも戦えない。







「だから力を合わせよう。」


ん?


「知ってるよ。隠にも見えない何かが、神とは違う何かが見える事。」


・・・・・・。


「赤い目をした白い鳥とは違う何か、だよ。」


気付いていたのか。


「御犬なんだろう、その何かは。」


そうだ。


「鎮野のユタにも見える、話せる。なのに。」


なのに、何だ。


「居るのは分かる。だけど見えない、話せない。だから頼れない。頼りたいのに頼れない。」






これから何か、恐ろしい事が起こるのか。ジロさまを悲しませるような、苦しめるような事が。


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