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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
再生編
1478/1600

17-45 赤い花が咲いて散る


目をギョロギョロさせ、ブツブツ言いながら歩き回るを見つけるのは難しい。けれど、とつ守なら見つけられる。


鎮森しづめもりの民が案内してくれるので迷わず、歩き回る八の元へ。






「突っ込め突っ込め、腰を振れ。」


ヒッヒッヒ。


「山守の種を残すんだろう?」


クックック。






山守の民は恐れた。


嬰児みどりごが生まれても、直ぐに死んでしまう。幼子おさなごは育っても七つ、八つ。男も女も赤くて大きな点が体のアチコチに出たり、熱を出してガタガタ震えるようになる。


若いのがバタバタ死んでゆく。



残るのは年寄り。中には死ぬのも居るが、その多くは女好き。


さらってきたのを押さえ付け、初めにためすのはおさ。それから若いのがガンガン打ち込み、逆らわなくなったら年寄りがネチネチ攻める。






「ヤる事やらなきゃ増えないぜ。」


ケッケッケ。


「真っ赤っか、真っ赤っか。赤い花が咲いて散る。」


ヘッヘッヘ。






山守の男と男がまじわり続け、死ぬやまいが広がった。病を持った男が女に移し、移された女から男。胎の子にも移る。


そうして広がったのだが、この病の恐ろしさは長く潜ること。



移されてから直ぐ、体の中で毒が増える。


増えて増えて増えるのに、病持ちに変わったトコロは見当たらない。だからドンドン広まって、忘れた頃にドンと出るのだ。


ドンと出たらアッと言う間に弱り、死んでしまう。






「その花を出すなよ、山守で咲かせろ。」


フッフッフ。


「山守の外に出したらオシマイ。」


カッカッカ。






山守の民が男と交わるようになったのは、他の里や村から思うまま女を攫えなくなったから。攫っても山守に着く前に逃げられたり、試す前に逃げられてしまう。


その多くは他の山に逃げ込むか、山越に助けを求める。



ずっと昔は違った。


足りなくなったり飽きれば山を下り、アチコチの里や村から若いのを。子を攫って閉じ込め、逆らわないように育てていた。


なのに今は、ちっとも思い通りにナラナイ。






「山守を強い村にぃ。」


ガンガンガン。


「強い子を産めぇぇ。」


ゴンゴンゴン。


「孕め孕め、産んで育てろぉ。」


パンパンパン。






山守の民は、山守から出た者は長く生きられない。体に入った悪いモノがドンドン増えて、シッカリと根を張るから。


山越に逃げた人も同じ。慣れた頃に出て、弱って死んでしまう。



山越の長は山守の話を聞き、村外れに他所よその人を住まわせる家を建てた。山守に攫われ、逃げてきた者は村に。山守の民を村外れに集めて見張る。


今のトコロ山守にしか出ない、あの病を広げないために。






「焼け焼け、焼き尽くせ。」


パチパチパチ。


「外に出すな。」


ボウボウボウ。


「ヴッ。」


背後からつぼを叩きつけられ、後頭部がベコッとへこむ。


「八よ、周りを良く見ろ。森を燃やす気か。」


とつ守、御立腹。


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