表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
再生編
1473/1601

17-40 この子だけは


ねぇ赤ちゃん。先読さきよみの力はね、母から娘に受け継がれる力はね。とっても強いのよ。だから生まれたら、この守り袋を譲るわ。



これは大蛇神おろちのかみめぐし子、マルさまが作ってくださった品なの。婆さまが良山よいやまを出る時、手渡された品よ。


それを大泉を出る時、母さんが貰ったの。




「あっ、動いた。」


うふふ。会えるのは、もう少し先ね。






山守の民を、あの村を滅ぼさなければイケナイ。そのために、そうだ。闇の力で追い詰めて追い詰めて、死にたくなるまで追い詰めてから穴を掘らせよう。



「グフッ。」


岩の裂け目から出されたは、祝社はふりのやしろに戻ってからオカシクなった。


「笑っている。」


みつ守がポツリ。


「胸がゾワゾワする。」


ふたつ守もポツリ。


「ひとつ守に。」


「うん、お伝えしよう。」






ふたつ守には対象に闇を植え付け、支配する力。みつ守には対象に闇を植え付け、操り動かす力がある。どちらも闇の力で、八が持つのも闇の力。


ひとつ守には強い清めの力があるが、八もおにの守。それなりに長く祝社に居るので、思うようにイカナイ。


それでも何とかしようと、清め水を浴びるほど飲ませている。






「ひとつ守。八が、前から悪かったケドもっと、もっと悪くなりました。」


みつ守が訴える。


「あの感じ。山守の祝を苦しめた、あの呪いの種です。そんな気がします。」


ふたつ守が怯えながら続けた。


「そうですか。」


八は手を出してはイケナイ何かに手を出したか、手を出そうとした。だから呪われたのだろう。


「見守りましょう。闇の底から這い上がるまで。」


「はい。」


「そうします。」






祝辺から届けられる品は減りに減り、山守の民を苦しめていた。人が少なくなったから減らされたのだが、そんな事にも気付かない。


ただ、ただ恨みを募らせる。



「子を産めぇ。」


ズッコンバッコン。


はらめぇぇ。」


ズッコンバッコン。






血走った目で腰を振るが、突っ込んでいるのは尻の穴。


山守の若い女は逃げ出し、捕まって死んだ。飲まず食わずで穢され続け、泡を吹いて死んだ。



次に狙われたのは子持ちの女、その次は幼子おさなご。その次は年寄り。


結果は同じ。飲まず食わずで弱りに弱って、泡を吹いて死んだ。






「産めぇ。」


バンバンバンバン。


「増やせぇ。」


バンバンバンバン。






山守の女、全てが死んだワケではない。


誰の子なのか分からないが、おのが産んだ子に違いない。だから嬰児みどりごを、生まれたばかりの我が子を託したのだ。山守社やまもりのやしろに。



血走った獣が眠っている間に、息を切らせながら駆けた。フラフラしながらも転ばないように、血が止まらなくても休まずに駆けた。


その命を削って。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ