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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
再生編
1471/1598

17-38 突ぅく


そうだ、鎮野しづめのは根の国に繋がっている。その道を塞ぐのは鎮野社しづめののやしろ御坐おわすは鎮野神しづめののかみ




「御婆、森に入ったね。」


やしろつかさに問われ、考え込んだ。


「・・・・・・あの時。」






先見さきみさまは契るまで、この婆が守っていた、なのにユタに、鎮森しづめもりに認められた祝人はふりとと暮らすと。


あの男。木の声が聞こえるが、そこまで強い力を持ってイナイ。なのに次の社になると言われている。だから認めた。



認めたが気になり、暗くなってから確かめに。それで見つけた。森の、鎮森の奥で光る『何か』を。


アレは祝の力で、悪いモノでは無かったように思う。となると。






祝辺はふりべもり。」


闇の力を持つ、おにの守。


「風が、うねった。」


だから確かめようと、森へ。






前の社の司が言っていた。


祝社はふりのやしろにはという、闇の力を持つ隠の守が居ると。強い力を求めて眉ひとつ動かさず、言えないようなコトをすると。



あぁ、そうか。八に、闇の力を持つ祝辺の守に操られていたのか。先見さまとジロの子をさらい、祝社に届けさせるために。


そのために、この身を。






「祝辺の守か。」


手の掛かるヤツに目を付けられたな、御婆。


「月の光を、そうだな。三つ周り浴びておくれ。」


「はい、こうさま。そうします。」






グヌヌ、隠だが苦しい。が耐えられる。


アレは確かに前の禰宜ねぎで、先見の力を持つ女を守る者。きっと他とは違う、強い力を持つ男と契らせる。


そして生まれた子を攫い、鎮森を抜けてコチラへ。



クックック、苦しいが耐えられるぞ。


先見と強い力を持つ者との間に生まれた子だ。きっと、きっと恐ろしく強い力を生まれ持つに違いない。今から楽しみだ。


あぁ、そう考えると。いや苦しいな。






かたよ、もう良かろう。ここから出しておくれ。」


今すぐ出しやがれ!


「カァア。」 ダスモンカ。






夜なのに羽を掴み、巣から連れ出した。眠かったのに、断ったのに、くちばしいたのに操られて。


でさぁ、死んじまったよ。



あの犬、この身を蓋にしやがった。賢いよな。むくろだと操れないから、岩の裂け目に捻じ込める。


死ねば痛みを感じない。だから何とも思わなかったよ。



いや違う。『もっとヤレ』って、『コイツを逃すな』と思った。羽をバタバタさせて風を送り、いや送れなかったケド思い切りバタバタした。






平良ひらの隠よ。八が出る事は無いと思うが、その時は頼みます。」


「カァッ。」 オマカセクダサイ。






つつぅく。


出てきたら突いて突いて、突きまくって穴だらけにしてヤル。カッカッカ、ワクワクするぜ。楽しいな、おい。



もう直ぐ生まれるひなよ、父は遣り遂げるぞ。悪い隠を懲らしめて、平良の烏を守ってみせる。この声が届かなくても、触れられなくても守るからな。


だから健やかに育って幸せになれ。






「おい平良、何とかイデッ。」


刺した? 今、何かでブサッと刺しただろう。


嘴か、いや違う。もっと細くて長い、そうか。羽を抜いて刺したな。そうだろう、そうとしか考えられない。


「カッカッカ。」 ナンノコトデショーカ。


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