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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
再生編
1465/1605

17-32 近づけないよぉ


ジロは他の狩り人とは違う、とても強い『何か』を持っている。


他に考えられない。あんなに重くて大きなくいを持ち上げ、熊を仕留めたのだから。




「化け王に救われた、か。」




アンリエヌは大陸おおおかのズッと西、険しい山の奥に在る。はじまりの一族が人を守るために建てた、小さいけれど強い国と聞く。


大王と化け王が居て今、国を治めているのは化け王。



はじまりの一族には才と呼ばれる力があり、はじまりの隠神おにがみより長く生きているトカ。


化け王の才は収集で、すべての才を集めたとも。




「・・・・・・フム。」


サッパリ分からない。けれどジロから悪いモノを、ちっとも感じなかった。


「まぁ良かろう。」




化け王のおみが暮らすのは鳥の谷。


この御山でも見掛けるから、どこかに抜け道でも作ったのだろうよ。今のトコロ悪い話は聞かないし、何かを見張っている。


いや見守っているようだ。



祝辺はふりべもりたばになって守っている、この御山を生きて出入りするのだ。おにとは違う生き物なのだろう。


そんな生き物を遠くの地におもむかせ、その動きを。




「ん。」


ずっと昔、居たな。やまと人と違う姿をした、山の犬を従えた何かが。






「クゥゥン。」 ドウシヨウ。


この先から、あの人の臭いがする。なのに入れない。






餓死寸前で食べ物を、それも新鮮な熊肉を与えられた狼がウロウロしている。


ジロの家は高床式。梯子はしごが上げられているが、軽く助走すればヒョイと上げれるだろう。なのにソウしないのはコワイから。






「クゥ。」 ナンダロウ、アノトリ。


森の端に生えている大木からふんを出し、クンクンと嗅ぐ。




近づかないのは大きな鳥が、コチラをジッと見ているから。少しでも近づけば冷たくて、透けている『何か』が鼻の先にブサリ。


痛くて痛くて堪らない。



良く見るのは姿を消せる、赤い目をした白い鳥。他にもイロイロな鳥が居る。けれど、あの白い鳥とは何もかもが全く違う。


大違いだ。




「キュゥゥ。」 シヌカトオモッタ。


ペタンと伏せてプルプル。




鳥なのに、あの大きな爪で尻を捕まれた。そのままグワッと上に下に。


たまに見るよ。シシの仔が鷲に捕まって、遠くを見ているのを。



あのまま巣に運ばれて、生きたままついばまれるんだろうな。その前に大きな岩がヌッと出ている、険しくて高いトコロに落とされるか。




「クゥン。」 コワイヨォォォ。




とっても強くてオッカナイ鳥はスッと消えと思ったら後ろに。クルッと回ったら、また後ろに。そんなのはイロイロ居て、追いかけてみたけど見失った。



何だよ、あの鳥。


谷の底から風がブワッと上がっているのに、なのに突っ込んだんだよ。鳥なのに。鳥なのにさ、風に逆らって飛べるんだぜ。




「・・・・・・クゥ。」 ・・・・・・マダイル。


近づけないよぉ。


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