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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
再生編
1461/1598

17-28 喉元過ぎれば熱さを忘れる


は人のもりだった時から、ずっと変わらない。死ねばおにの守になり、何だって出来る。そう思っていた。






「ドウジデ、ゴンナゴドニ。」


『どうして』も『こうして』も無い。


「ゴンナゴドナラ。」


祝辺はふりべの守になんか、なるんじゃ無かった。






化け王が何だ、白い鳥が何だ。


あぁ見えるよ。ハッキリくっきり、羽の先まで見えるよ。それがドウした。だから何だ、何なんだ。そんな目で見るな。


見るな! 見るな! 見ないでくれ、頼む。



痛い痛い痛い、体がきしむ。手が指がしびれて、あぁ目が。目がかすんできた、歪んで見える。


死ぬのか。隠なのに死ぬのか、消えるのか。


このまま消されて、いや違う。きっと奥津城おくつきに放り込まれて、喰隠くおより酷い扱いを受けるんだ。






「ビギマズ。」


あの狩り人、呪いの種にも手を出しません。


「オネガイ、ジマズ。」


お助け下さい。






隠だ。どんなに強く願っても、どんな姿になっても死ねない。ずっと、いつまでも苦しみ続けるだろう。そんな事を、そんな末を受け入れられるホド強くない。


強くないんだよ!



聞こえる。これまで痛めつけてきた、追い詰めて殺した者の叫びが。怒り、悲しみ、嘆きが纏わりつき、絡みついて離れない。


このまま絞め殺されるのか。それとも吊られ、ボロボロになるまで捨て置かれるのか。






「ドヅモリ。」


羨ましかったんだ。その姿、その生まれが。






あの狩り人、何となく似たモノを感じた。きっと生きにくいハズだ。


見ない顔だから他から、谷河の狩り人か木菟、鷲の目に救われたんだろう。それで鎮野に、いや違う。御山の麓にある、小さな隙間すきまから入って来たんだ。



そんな事、人に。


・・・・・・化け王なら、神とも祝とも違う力を持つ化け王になら出来る。そんなモノに手を出そうとした。だから今、こんな事に。


こんな扱いを受けているのか。







「アノビド、ヤミニモデヲ、ダジマゼン。」


やっと解りました。何をドウしても取り込めない、使いこなせないと解りました。やっと、やっと解りました。


「ヂガヅギマゼン。」


何が起きても、どんな事になっても決して。


「デズガラ、オネガイジマズ。」


この痛み、苦しみから解き放ってください。お願いします。どうか、どうか。






化け王が何を御考えなのか、何を為さるのか、何を御求めなのかサッパリ分からない。けれど隠が、祝辺の守が手を出せば終わり。


手を出して良い事ではない、という事は解る。



八がドコまで解ったのか、なんてドウでも良い事だ。今、これからも求められるのは近づかぬ事。手を出さぬ事。見守る事。






「喉元過ぎれば熱さを忘れる。」


また繰り返すだろう。


「ワズレマゼン。」






この苦しみは去っても決して、決して忘れられないモノなんです。胸に、喉に突き刺さった棘が抜けずドクドクと血が、光りが、力が抜ける。


そんなモノなのです。



死ねないのは祝いでは無く、呪いだと気付きました。遅いのでしょうが、やっと気付きました。ですから、お願いします。


お許しください。


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