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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
再生編
1460/1632

17-27 耳の穴を掻っ穿ってよく聞け


山守神やまもりのかみは霧雲山を、霧雲山を統べる神で在らせられる。山守の民が死に絶えても、この御山が在れば御隠れ遊ばす事はない。


御山が崩れ、流れるまで。






「そんな姿になっても、まだ求めるとは。」


の手が空を切る。


「モウジワゲ、アリマゼン。」


とつ守に絶対服従を誓ったのに、とつ守が守ると決めた人やおににアレコレしようと画策。


「八よ、耳の穴を穿ほじってよく聞け。あの男。鎮野の狩り人ジンは化け王に、その命を救われたうつわだ。」


これでもか! と開かれた目。ダラダラ流れるよだれ。その全てから闇が溢れ、八を苦しめる。






とよは山守の民に殺された者の怨念が集まり日中、土から出て人に捕らえらえた鼠に憑依した隠。とつ守の命を受け、時の守鼠になった今も強い闇耐性を持つ。


その昔、飢えた山守の民に己を食らわる事で体内から攻撃。溢れ出る負の感情を食らって成長。妖怪化する前に保護され、とつ守の使い隠に就任。現在に至る。






「ヂュッヂュッヂュッ。」


茂の笑い声に合わせるように八が肩を揺らす。そのたびに生気を吸われ、激痛が走る。


「ゴノォォォ。」


捕まえようとするも逃げられ、ベチャッと倒れた。






鼠は植物食。草の葉や茎、根。種子や果実などを食べているが昆虫類、蚯蚓類なども小動物も食べる齧歯類。


獣は日没後から日の出前に活動するが、幼獣は食物要求量が多く、日中も活動。



繁殖力が強く、個体数も多い鼠なのに食欲と睡眠欲が強く、性欲に淡泊たんぱく。時の守鼠をウン十年も務め、毒耐性もゲット。


とつ守のために働く事に、この上ない喜びを感じる。それが茂。



朝から朝まで休みなく、とつ守のために働くのが当たり前。






「ヴッ、ギャァァァ。」


時の毒をタップリと塗った門歯もんしで、八をガブリと直接攻撃。食らい付いたのは足ではなく首。それも頸動脈を狙ったので、脳と顔面に毒が回った。


「ヴヴヴヴヴヴヴ。」


頭部がガタガタと細かく動き、白目を剥く。


「御出で。」


「チュッ。」


とつ守に呼ばれ可愛くお返事。トコトコと駆け、そのてのひらに乗った。


「さぁ、お飲み。」


アァンと素直に口を開き、さじすくい取られた清め水をゴクリ。腹の辺りがポワンと光り、八に掛けられた呪いが消える。


「幸せそうな顔をして。」


時に頬を優しくツンツンされ、チョッピリ照れた。






何だ、何なんだコイツら。


とつ守がオカシイのは今、始まった事では無い。あぁ、思い出した。とつ守の使い鼠だったな、時の守鼠は。



今は小さくなっているが見たぞ。熊より大きな姿になって、山守の民から闇を吸い上げている姿を。


森の中で狩り人やきこりの子を襲う、山守の民を食らう姿を。山守社やまもりのやしろと離れに火をつけ、焼こうとした山守の民を丸のみする姿を。






「化け王は神では無い。けれど祝の力とは違う、強い力を御持ちだ。その気になれば御山を崩せる。」


何だって!


「見えるだろう、白い鳥が。」


監視業務を務めるのはブラン率いる、アンリエヌ鳥類魔物集団。その大半が猛禽類。


「鎮野と大泉の民に手を出すな。ずっと昔から幾度も言い聞かせたのに、まだ解らぬようだな。」


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