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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
乱雲山編
146/1573

5-73 なるほど


風見かぜみの国は、戦好きで知られる。どこで聞きつけたのか、暴れ川を上がり、山裾の地で潜み、隠れている。


狩頭、長の倅サンとトモ。狩り人ジン、ヤカ、ウネ。五人ほど引き連れて、あちこち散っている。


拠り所は、木下の村の外れと、深川の間。舟をひっくり返して、構えている。



戦、戦で、敵だらけ。そんな風見に味方するのは、早稲わさくらいなもの。だから、奥の地にある国を潰し、加えようと考えた。狙うは玉置、北山、東山。


三鶴も狙っていたが、やめた。滅ぼすはずだった稲田に、牙をかれた。稲田、大田、草谷の長は組み、三鶴を見張っている。操れない国なんて、わずらわしいだけ。



風見は隙を見て、玉置を攻める。木下の外れを選んだのは深川沿いで、玉置を見張る事も出来るから。暴れ川は深川と繋がっており、速やかに兵を送れる。


風見から送られる兵は全て、隠れ里が消す。いくら待っても来ない。そうとは知らず、奴等やつらは待ち続ける。




玉置、北山、東山。三つの国に戦う力など、残っていない。武田と飯田は、食べ物を渡したくなくて、加わっただけ。


戦を仕掛けるなら、夏の終わり。稲を育て、刈り取る。それからだ。



日吉山を攻める? 深川沿いに、川田。大川の先に、釜戸山。乱れ川の先に、岩割。川を上がるたび、狙われる。それに良村。犬好きが頼めば、馬守も動く。


進む度、攻められる。引こうにも、後ろには良村。更に後ろに、馬守。考えれば、分かるだろう。勝ち目など、ない。



「バケモノは、何も知らぬ。分かっておらぬ。多くの魂を食らうため、戦を待って。国盗りを狙う風見の、歪んだ魂を、今か今かと。だから、な?」


「なるほど!」



使わしめ、社へ戻る。




山守神は、見守り一択。そうなると、動く。祝辺の守が。



人と妖怪がもたらす情報を整理し、導く。生者と死者、両方を使役できる、唯一の存在。霧雲山の、影の支配者。それが祝辺の守。


守るためなら、手段を選ばない。味方なら心強いが、敵に回ると厄介。その守が出した結論。霧雲山の統べる地に、害をもたらす、風見の殲滅。



まず、暴れ川の水底から、獣谷の奥へ、闇を繋いだ。骸は、川を堰き止めることなく、流す。舟や積み荷は、隠れ里へ。


はじめは驚いていたが、風見に苦しめられた人も多く、手伝ってくれた。




雪が高く積もる前、風見は一度、引いた。雪解けの頃、暴れ川を上がる。そして・・・・・・。


春といえば、子育て。冬の間、巣穴に籠っていた、腹ペコ熊たち。ポンポン放り込まれるむくろに、大喜び。


川底から獣谷の奥へ、闇を繋いだのは化け王です。いくら祝でも、出来ません。妖怪にもムリ!

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