表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
再生編
1457/1598

17-24 交尾って


アンリエヌは建国当初から、はじまりの一族が治めている。


民は多い順に人類、新たな一族、魔族。アンリエヌ国籍を持つ魔族は、その大半が国家公務員。化け王城内で生まれ育ち、国外に出る民の護衛を担当。



ここ数年、才では対処しきれない魔族の不法滞在が増えた。その都度、魔界へ強制送還している。けれど際限がない。


入国管理局で退去強制処分を受けると、やれ亡命だ難民だと大騒ぎ。挙句『天魔人権委員会に訴える』と言い出す輩まで出てきた。


ハッキリ言って迷惑だ。






「問答無用で浄化できれば良いのに。」


ボヤきたくもナルよね。






はじまりの一族は神では無い。全ての才を収集し、歴代最強と謳われるカーにも限界はある。


あらゆる物質を別の物質に変える特質系、転化の才を用いれば強制浄化可能だ。しかし、その後がタイヘン。



黒を白に変えても魔族は魔族。天界は勿論、冥界や魔界でも暮らせない。こんな体にしたのだから、責任を取れ。アンリエヌ国籍を寄越せと騒ぎだす。


そうなる前に処刑していたら、アレが出しゃばってきた。






「何が天魔査察制度だ。ココは人間界、天界でも魔界でもないわ。」


と言いながら鉄槌てっついを振るう化け王。






丑の刻ではナイが白衣を身にまとい、蝋燭を鉄輪かなわで頭につけ、天魔連合の事務総長ログラハの藁人形に五寸釘を打つ姿は迫力満点。






「確か天界と魔界、いや冥界だったか。猛火もうかに包まれた世界が在ったな。」


うんうん。


「焼き加減が難しそうだが、再現するか。」


化け王、御乱心!






当然と言えば当然なのだが、創造の才を以てしても祝の力を創造する事が出来なかった。


アンリエヌを守るために必要なのに、どうしても手に入らない。思い悩んでいた時、祝の力を持つ次代が生まれる未来を見る。



はじまりの一族で残っている女は腹違いの姉、ウィだけ。子など望めない。なのに孫が生まれる? そんな事はアリエナイ。


疑いながら確かめるも、クルクル変わって定まらない。



未来とはういうモノ。頭では理解しているが、心が強く拒み続けた。だから試しに、やまとへ出向く。


次代が持って生まれる、強く清らな力を手掛かりに。






トントン。


「失礼します。カー様、その火球は一体。」


魔物武官長、アルジャンが首を傾げる。


「ん、これか。」


スッと消してからニコリ。






アルジャンは白狼の魔物。火に対する恐怖を克服したが、炎はまだチョッピリ怖い。人の姿に化けると白髪まじりの中年になる神殺し。


当狼は気付いてイナイがクピド、愛の神を食い殺したことで呪われ、不老不死となる。



背に小さな翼を生やし、手に弓を持つ裸の少年がハァハァしながら地上の民へ矢を向けているのを発見。即座に不良天使と判断。


二段ジャンプして喉笛に食らいつき、そのままゴックン。その日のうちに『変態鳥を食い殺した』と報告した結果、お咎めナシ。






「やまと霧雲山系、特別室より緊急連絡が入りました。ジロが巣でナタに発情し、交尾したそうです。」

交尾って。


「そうか。・・・・・・これからは巣ではなく家、交尾ではなく交接こうせつと表現するように。」


「ハイッ。」


キュルンとしてからキリッ。背を撫でられ、ウットリしながら尾をフリフリ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ