表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
再生編
1454/1610

17-21 生かすの?


才を奪われ藻掻もがき苦しむ、はじまりの一族を思い出す。ひ弱な人類を守る代わりにかてを得る。それを忘れて侵略戦争を繰り返した結果、何が残った。


貪欲に血を求める新たな一族は死に絶え、己の立場を弁える者が次代を担う。それでも、こういうやからが混乱させる。






「細胞、いや遺伝子に刻まれているのか。」


カーが呟く。




新種を食らった事で、魂の奥深くに潜んでいたモノが動き出したのだろう。面白い。どれだけ耐えられるか、この者で試そうじゃないか。




「コレは、もしかして。」


エドが考え込む。






己は神から選ばれたから、脆弱で愚かな民を導く使命を持つ。そう思い込んでいる危険因子か。


きっと迷えば迷うほど、厄介な事になる。その時、何が。



アンリエヌの国王はカー。


才を持たぬ、地上に出られぬ王族に国を治める力は無い。だからもう『玉座を奪う』とか『表に出る』とか、そういう考えはない。持てない。






「兄上。」


ジャドが声を掛け、黙り込む。


「同じだわ。」


ウィが呟き、目を伏せた。


「そうか。」


エドが微笑み、アミを見る。






きっと死んでも理解できない、する気もナイ。そんな目だ。このまま生かせばわざわいもたらし、多くの命が奪われるだろう。


それでも生かすのは将来、役に立つ何かを持っているから。もしくは、この男の子孫がソレをなす。



ベンが死んで思い知った。カーは父王の願いを聞き入れたダケで、己らを無条件に生かすツモリはナイ。血の繋がりなど関係ないのだ。



カーは化け王。アンリエヌの民を守るためなら王族でも、他国の民でも迷わず消す。


それで戦争になっても一瞬で片が付くし、『地下で生きる民の食料が確保できた』としか思わないだろう。



化け王は本当に恐ろしい。なぜ我らは、この王を見下していたのだろう。


半分だが血のつながりが無ければ。いやエンとルーが望まなれば、とっくの昔に処分されていたハズだ。






「バゲオヴ。」


アンリエヌの民が、こんなに苦しんでいるのにナゼ助けない。それでも王か。


「ダイオヴ。」


何をしている。官吏を、たった一人の官吏を見殺しにするのか。






カーが、化け王が何を考えているのか分からない。分からないが控える。手を出せば、きっと元に戻すだろう。


ジャドとウィに耐えられるとは思えない。だから今は。いや、これからも臣として生きるんだ。






「エド王。」


・・・・・・ハッ。


「はい。禍が齎される前に。」


この者を生かすか、それとも殺すか。処する。ただ、それダケの事。悩む必要はない。


「生かしましょう。」


「はい、エッ。」


エドが口を滑らせ、唇をピクピクさせた。






新種を食らって生き残った新たな一族のうち、異変が起きたのはアミだけ。


シアとクアは少し前に処置を施され、選ばれた者と穏やかに過ごしている。これから先、苦しむ事もない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ