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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
再生編
1452/1598

17-19 簡単には死なせん!


頭が割れるように痛い。目が眩む、いや歪んで見える。


それに胸が、体が焼けるように熱い。






「エド大王、どう為さいました。お顔の色が優れませんが。」


何か知っているのか。


「新種の、それも凝縮された生き血をすすったのです。細胞が破壊され、組み替えられてもオカシクありません。」


何だって!


「ジャド大臣、ウィ大臣も耐えられなかったようですね。お気の毒に。」


頼む、カー。弟妹を助けてくれ。いや、お助け下さい。


「今、手を出せば崩れますよ。」


崩れる?






はじまりの一族、それも王族だ。チョットやソットじゃビクともシナイ体を持っている。


ジャドとウィはカラカラに渇いたスポンジ状態だったので、エドより多く吸収してしまった。泡を吹いて気絶するのは当たり前。






「このまま放置すれば、もって三日。」


カー化け王。どうか、どうか御助けください。お願いします。


「細胞破壊は止められませんが、渇きを押さえる手立てなら一つ。」


私に出来る事なら何だって、どんな事でもします。ですから弟妹を、ジャドとウィを助けてください。


「ならばエド王。この惑星が消滅する、その瞬間まで化け王のしもべとして生きなさい。」


おおせのままに。






カーがジャドとウィの額に、人差し指でツンと触れた。すると赤黒かった皮膚が赤紫、赤紫から紫、紫から赤へと変化する。


薄紅色になると眉間みけんしわが消え、荒かった呼吸が穏やかになってゆく。それを見たエドが微笑み、白目を剥いた。






「死なれては困ります。」


スッと支え、額に触れる。






エドが持って生まれた才は回復。支配の才が無ければ大王にナレナイのだが先代、ジョド大王の崩御により即位。


化け王に奪われなければ、強要の才を持つジャドが即位していただろう。



全ての才を収集した化け王、カーは腹違いの弟。けれど頼れなかった。幼少期からバケモノ扱いし、虐げてきたのだ。今更、何を言っても突き放される。


エンとルーが生きていればと何度、思ったか。






「すまなかった。」


あの姉弟を化け王城に。そう聞いた時、直ぐに分かったのに何もしなかった。


「許されるとは思わない。」


あの時、回復の才を使っていれば。幾度か考えた。


「それでも。」


ボロボロになっても死ねないエンを、苦しむエンに回復の才を揮っていれば。そうすれば未来が、ほんの少しでも変わっていたように思う。


「許してほしい。」






勝手な事を。


ルーもエンも化け王城に幽閉されて、王族専用牢に入れられて喜んでいた。つまり城外では王族として扱われず、辛く惨めな思いをさせられていたのだ。



・・・・・・記憶を読んだ。『腸が煮えくり返る』というモノがどういうモノなのか、嫌というホド理解したよ。


行動に移さなかったのは、それを望まないと思ったから。



エド、ジャド、ウィ。死んだベンも同罪だ。お前たちを生かしたのは、それが交換条件だったから。


ジョド王に感謝しろ。簡単には死なせん!


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