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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
再生編
1450/1635

17-17 告げ口をするようで


王族は理解した。


けれど新種を食らっても生き残った、数名の新たな一族は違う。






「偉大なるエド大王の御傍に仕える名誉を、どうか私めに御与えください。」


アミがこうべを垂れる。






潜伏仲間であるシアとクアから距離を置かれ、孤立したアミは考えた。


大王の側近になれば見返せると。無い知恵を絞りに絞り、やっと浮かんだのがコレ。王族におのを売り込む事。






「確かに官吏を募集した。がな、アミ。大王側近にはナレヌぞ。」


ジャドに言われ、グッと下唇を噛む。


「はい、理解して居ります。それでも、どんな犠牲を払ってでも王族の御役に立ちたい。この思いに偽りは御座いません。」






大嘘である。


前述の通り、シアとクアを見返したいダケ。天涯孤独の身となったアミには、もう帰る場所は無い。頼る人も居ないのに孤立無援に陥った。


だから藁にもすがる思いで、謁見を申し込む。






「なぜ、そこまで。」


ウィが呟く。


「結果は追って知らせる。」


「ハッ。」






アミはジャドを、エドだと思い込んでいる。


同じ父母から生まれた兄弟だ。似ていると言えば似ているが、エドは正統派王子。ジャドは近寄り難い印象を与える王子サマ。


因みにベンには、無駄に色気がアリマシタ。



つまり大王の顔なんて知らない。


義務教育だって何度も留年し、やっと終えたアミが覚えているのは『はじまりの一族にとって新たな一族は希望』というコトくらい。






「不採用、としたいが。」


こっそり見ていたエドがポツリ。


「そうよね。」


ウィも嘆く。


「顔に出ていたからなぁ。」


ジャドもポツリ。






隠す気が無かった、としか思えません。


バレバレでしたヨ。『化け王に仕えるのは難しいので、大王で我慢しよう』と考えているのが。






「新しい宰相、バルトはフリツの養子。」


「特別養子なので生家との縁は切れているが、長兄の子が生き残っていると言っていたわ。」


ジャドとウィがエドを見る。


「下級官吏として採用しよう。」


「・・・・・・兄上、化け王には何と。」


「そのまま伝えるよ。」






従者が居なかった事もあり、下級官吏として採用された。けれどアミは周囲に、『官吏として採用された』と報告。


モチロン誰も信じない。






「なぁ、シア。告げ口をするようで何だが。」


「そうだな。宰相にキチンと、お伝えした方が良いだろうね。」


「早い方が良いな。」


「あぁ、そうしよう。」






過激派に限った事ではナイのかも知れない。けれど家と家の間には断ちがたい一体感があり、年齢に関係なく付き合いがあった。


だからイロイロ知っている。



昔から学力は低いが、思い込みの強さは突出していた。


これといった能力を持たないアミに何が、とも思う。けれど報告を怠った事が問題視されると、何かと面倒だ。


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