17-14 忙しないねぇ
取ッ捕まったのは最高位の堕天使、ルシフェル。
冥界の王者、ハデスにケチョンケチョンに打ち負かされて思った。悪魔の敵、化け王を配下にすれば勝てると。
「ベルぅ、助けに来てぇ。」
悪霊の頭、ベルゼブルは蠅の王。伝染病を媒介する厄介なヤツである。
「来るなら来い!」
やる気マンマンで微笑むヴァイス。
ヴァイスは白子の大蛇。鳥以外ならどんな姿にも化けられるが、移動に不便なので下半身は蛇のままにする事が多い。
今の姿は百足。全ての歩脚に蠅取紙と、蠅叩きを持っている。
「はじまりの一族って、吸血鬼に転職したんだよね。そうだよね。」
「何を言い出すかと思えば。」
化け王、呆れ顔。
「生き血、啜るジャン。」
ジャンって。
「ソコの蝙蝠、化け王の分身でしょう。」
違います。
「血、吸うモンね。」
リュンヌは西洋生まれ。血吸蝙蝠ではアリマセン。
「冥府の争いに巻き込むな。」
はじまりの一族が守るのはアンリエヌだけ。
「その力、天界との戦いに活かせ。」
「・・・・・・作るか。新鮮な堕天使を贅沢に使った正餐。」
カーが呟くとヴァイスが蠅取紙と蠅叩きを置き、調理器具を手にした。
「いつでもイケマス。」
研がれた刃物がキラリ。
「ヒッヒッ、フゥゥ。」
ラマーズ法か?
「また倒れた。」
忙しないねぇ。
全ての血を抜かれ、逆さ吊りにされた堕天使。
死期が迫っていると悟ったのか、それとも全てを諦めたのか。虚ろな目をしている。
「さて、始めるか。」
化け王城の厨房で、カーが見事な包丁さばきを披露。
天使の肉を食らえば永遠の命を得られる。なんて言われているが、それを確かめた者はイナイ。
カーは不老不死。『堕天使の断罪』を堪能しても判らないのでブラン、ネージュ、リュンヌ、アルバ、ヴァイスが食するコトに。
「カミヲオソレヌトハ。」
その神に反逆して、悪魔になったヤツが何を言う。
「プラナリア並の再生能力だな。」
プラナリアは扁形動物 門渦虫類のうち、動物実験などでよく知られるナミウズムシ類の旧属名。渦虫類の一般名相として長い間、親しまれてきた名である。
現在、渦虫類の属名はDugesia属と改称され、Planariaは属名としては使用されなくなっている。
再生力の著しく強い動物で、再生実験によく用いられる事で有名。細片に神経を含めれば、かなり細分しても再生する。
清流や湧き水など、流水中の小石の下などに生息。体は長さ2㎝内外。扁平で伸縮性に富み、頭部は三角形で一対の杯状眼を持つ。
「誰が自由生活者だ。」
扁形動物門には渦虫類の他に吸虫類と条虫類があるが、後二者は寄生生活者であるのに対し、大半の渦虫類は自由生活者である。




