17-13 このまま死ぬのかな
シアとクアは行動に移した。
考えに賛同するのではナク、アミから離れたのだ。
「何でだよ。」
投獄され、膝を抱えるアミ。
「ずっと一緒に居たのに。」
一緒には居た。けれどアミと違い、シアもクアも日夜研鑽を積んでいた。
「なのに、なのにドウして。」
外へ繋がる道も、刑場でもある涸れ井戸も閉ざされた。新たな一族が地上に出る術は無い。
才を奪われた王族も同様。旧王城地下から出る事など不可能。
「地上には空があって、空には雲が浮かんでいて、雨や雪を降らせる。」
ずっと昔、読んでもらった絵本に書いてあった。
「雪は冷たくて、積もると地上を真っ白にする。それが解けると水になって、地層や岩石の隙間に溜まるんだ。」
教科書の隅に書いてあった。
「あの時はソレが何だって思ったケド、不思議だよな。」
シアもクアも、その不思議を解き明かそうとしていた。だから難しい本を読んで、あぁだコウだと議論していたんだ。
あの時は何を言っているのかサッパリ分からず、ボンヤリしていたケドさ。
「このまま死ぬのかな。」
看守はイナイが脱獄不可能。
「飼い殺し?」
食事が日に二度、柵の隙間から差し入れられる。
「冷めてもコレなら。」
新鮮だと、もっと美味しいんだろうな。
「まぁ有難く、いただくよ。」
その数を減らしたとはいえ、自給自足は出来ない。
化け王城からの支援が無ければ餓死してしまう。食料だって、たっぷり手に入るワケじゃない。きっと減らされているハズだ。
分厚い壁に守られた、あの空間も同じ。
化け王の兄だから、大王だから何だ。化け王の兄でも姉でも大臣でも、化け王から情けを受けなければ生きられない。
「ふっ。」
滑稽だな。
旧王城地下は隔離されているが、同時にカーの力で守られている。
悪い魔族とか悪意の塊が付け入る隙が無い。いつだって清らで美しい、とは言えない。けれど他よりはマシ。
「本日のオススメは『堕天使の断罪』。不法侵入した新鮮な堕天使を、贅沢に使った正餐で御座います。」
蝶ネクタイを結んだアルバがキリリ。
「ホウ。」
化け王、ノリノリ。
「前菜は眼球と舌のサラダ。生き血に命乞いして流した涙を入れたスープ。胸肉のステーキ、手羽先とモモ肉のフライ、ササミの和え物。デザートに毟った羽で包んで蒸した腸詰。コーヒーと紅茶、どちらに為さいますか。」
「そうだな。紅茶をもらおう。」
「止めてぇぇぇ。残らず、全て白状します。だから殺さないで。お願いしますぅぅ。」
取っ捕まった堕天使、号泣。その涙をスポイトで吸い上げ、セッセと瓶詰するのは人の姿に化けたネージュ。
「コレコレ、そんなにバタバタすると羽が抜けるぞ。」
人の姿に化けたリュンヌが囁く。
「ヒッ!」
白目を剥き、泡を吹いて倒れた。
「ソレも集めておくれ。効があるカモしれない。」




