17-12 ねぇよ
新たな一族もアンリエヌの民だ。
義務教育を受けているが、高等教育を受けられるのは成績優秀者のみ。勤労したくても職が無く、納税したくても金が無い。
だから配給制度があり、最低限度の生活が保障されている。
「でもココには、旧王城地下には自由が無い。」
「あのなぁ。自由ってのは等しく、責任を伴うモノなんだ。」
クアの伯父は幼少期から変わり者で、いつも醒めた目で状況を見つめていたと聞く。
三度目の挑戦で国家校務員試験に合格すると、必要最低限の荷物を持って家出。手紙一通、寄越さないトカ。
クアは口に出さないが、離宮地下で暮らす伯父を尊敬している。
国家公務員試験を受けるため、高等教育課程を修めたい。そう言って親や親類を困らせ、孤立しても行いを改めない。
「自由なんだから何をしたって良いハズだ。」
「ナニ言ってんの。誰も彼も心のまま、思う通り、勝手気ままに行動すればドウなる。考えなくても分かるだろう。」
「そっ、それでも強制や命令を受けることなく、自分の思い通りに生きる権利はある。」
「ねぇよ。」
アミを見るクアの目がスッと冷たくなった。
アミは悪い意味で箱入り。
クアは己も高等教育を受けたいと考えているが、家族に理解されず孤立していた。シアも同様だが、己の能力では難しいと理解している。
「シア、黙ってナイで何か言ってくれよ。」
「悪いな、アミ。オレもクアと同じ考えだ。」
「・・・・・・ナンデ。」
エド大王もジャド大臣もウィ大臣も、お飾りだが化け王の兄姉。
はじまりの一族、それも王族だ。取り入れば側近に。そう考えてもオカシク無い。なのにドウして、そんな目で見るんだよ。
止めてくれ。
「新たな一族は王族の、才能を奪われた王族の希望だったハズだ。化け王に敗れたケド今も、こうして生きている。」
そうだね。
「だから大王に会って伝えるんだ。化け王を玉座から引き摺り下ろし、アンリエヌを牛耳りましょうって。」
「いやムリ。」
「オレもムリ。」
アンリエヌに大王と化け王が居るのは、その一方が破滅に向かうのを止めるため。アンリエヌの民の生命・財産を守るため。
支配者になって組織を、国を思いのままに動かす? 寝言なら寝て言え。そんな力がドコに有るんだ。
「本当、甘ちゃんだよな。」
シアの言葉がアミの心にブサリと突き刺さる。
「世間知らずってヤツ?」
クアに言われ、泣きたくなった。
考えを突き詰めず、好い加減でヨシとする。確かにソウだ。世間に対する認識だって甘いし、何より厳しさが足りない。
自分に甘く相手に厳しい。そんなのに傾倒する、協力するヤツが居たら会わせてくれ。誰だってソウ思う。分かっているんだ。
嫌と言うホド理解している。
「確かに甘ちゃんだし、世間知らずだよ。」
アミ、逆ギレ。
「けどさ、同じだろ。」
シアとクア、揃ってドキリ。
「何もしないでグジグジするより、行動しようぜ。」




