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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
再生編
1443/1637

17-10 薄まっていても


旧王城地下で暮らす、新たな一族の数が減った。生き残ったのは二割程度。


その大半が宰相に選ばれた若手と、その家族。






「居ない。」


「ウチもだ。」




シアもクアも親ナシに、天涯孤独の身の上になった。アミもソウだが事情が違う。


違うがハッキリと区切りを付けられ、誰も近寄ろうとシナイのは同じ。




「まぁ、そんな気は。」


「だよな。」


「養護施設に入るのかな。」


・・・・・・。




シアとクアが黙って、アミを見つめる。


目は口より雄弁だ。心の声なんて聞こえないが、頭の中でガンガン響く。『ナニ言ってんの、コイツ』と。




「何だよ。」


強がっても、何も変わらない。


「いや、その。」


「なぁ。」




シアとクアが見合い、ムリに笑う。その顔が周囲と同じに見えて、そう感じて倒れるように座り込む。


くずおれたアミを気遣い、手を差し伸べる者はイナイ。




「そうだよな。」


小さくなったアミが呟くと、シアとクアが慌ててかがんだ。






新たな一族の寿命が、ほんの少しづつ伸びている。とはいえ百五十年ほど。人類より長く生きるが、新種と違って成長速度は遅い。




旧世代は九十、新世代は百四十を越えた辺りから急に老けだす。その大半が常時臥床ふしょう状態になり、介護を要する。


天寿を全うするまで要職に就いていたフリツは例外中の例外。



元から健康体だったが殊の外、健康に気を付けていた。


全てはアンリエヌ旧王城地下で暮らす、新たな一族の生活と平和を守るため。






「誰だっけ、前の宰相。フリツ宰相が化け王と交渉して、新たな一族のために組んでもらった予算をさ。」


「不正事件で失脚して、変死したヤツだ。」


「そうそう。アイツの所為せいでギリギリだった生活を元に戻したの、バルト宰相じゃん。」


「就任の挨拶、覚えてるか?」


「あぁ、覚えている。『アンリエヌの地下宰相として、出来る限りのコトをする』ってヤツだろう?」






すぐさま対立分子を粛清し、政治改革に乗り出す。化け王への謁見を許されたのは、宰相就任から三年後。


つまり、たった三年で立て直したのだ。






「縁は切れていても、バルト宰相と同じ血が流れているんだ。」


「薄まっていても流れているんだよ。」




甥だ、そう遠くない。けれど相手はアンリエヌの地下宰相。近寄る事すら出来ない雲の上の存在。


何を期待しているのか知らないが、好い加減にしてほしい。




「悪いな。」


「エッ。」






シアもクアも、アミを元気づけようとしたダケ。


血は水より濃いと聞いて育てば、何の疑いもなく思うだろう。絶縁しても同じ血が流れてると。困った時は頼れるし、助けてもらえると。


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