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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
再生編
1435/1597

17-2 無条件で守るのは


こうなる事は最初から分かっていた。だから危険な事態に発展する可能性があると、新種が従順だとは限らないと忠告したのだ。


うとまれてもさげすまれても諦めず、何度も何度も。






「バルトめ! 知っていたな。」


反対されたのに強行したのは自称、革新派。


「先王が御存命なら。」


アンリエヌの滅亡は必至。


「ベン大臣が御存命なら、エド王も。」


引きこもらなかった?


「ジャド大臣、ウィ大臣を御救いしよう。」


ムリ無理、めとけ。下手へたすりゃ死ぬよ。






無駄に大きかった旧王城を支えるため、地下空間の壁も柱も丈夫で立派なモノばかり。耐力壁を囲うように作られた部屋は、その大半が王族専用。



エドが籠城ろうじょうしているのも、ジャドとウィが塗り込められているのも強固な壁で守られた一角。


はじまりの一族、それも王族だ。そう簡単に死なない。






「いつまで続くんだ。」


新種に食い殺されるまで、かな。


「ジョド王、どうか我らに力を。」


先王が守ったのは正妃との間にもうけたエド、ジャド、ベン、ウィだけ。






厚い壁に守られている倉庫に逃げ込んだが、その全てに生存に必要な物資、設備があるワケでは無い。


それらが整備されていなければ、もって三日。






「こんな事なら。」


「余計な事を考えず。」


化け王に飼われていた方が良かった。






空気浄化装置と生存に必要な物資・設備が整備されていても、二週間以後の生存は望めない。


旧王城で暮らす全ての民を避難させられる、そんな場所があればよかった。けれど高い建設費と維持費を調達できず、エド王は断念する。






「もっと勉強すれば良かった。」


「あの時、諦めなければ今頃。」


後悔先に立たず。






厚い壁に覆われていても、いつか必ずやぶられる。小さな穴が大きくなり、飢えた新種が雪崩なだれ込む。


そうなれば逃げられない。






「私は無力だ。」


才を奪われてから今まで、何をしていたのだろう。


「生きているのも全て。」


父王が化け王にくだったから。






化け王は大王の影。


そんな話をに受けて、幼少期から蔑んでいた。アンもサンも、サイもスイもディもカーを王と認めず死んだ。



全ての才を収集する。それが平和を愛する歴代、化け王の悲願だったのだろう。


カーはエンを逃がしてから追跡隊に志願し、他の隊員から才を奪って突きつけたのだ。現実を。






「いいや、違う。」


アレは言っていた。『化け王が守るのはアンリエヌの民。国は民を守るために存在する、強いうつわでなければナラナイ』と。


「父上。」


はじまりの一族、その王族というダケ。そんな生き物に一体、何の価値があるというのですか。






カーが無条件で守る親族は、はじまりの一族はエンとルーだけ。


いつ看取ったのか分からないが、エンはルーの隣で眠っている。ユリの花を手に。


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