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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
新天地編
1433/1601

16-88 家を建てるなら


アンリエヌで見た映画で、主人公が言っていた。『愛さえあれば年の差なんて』と。あの時は『いやいや、下手へたすりゃ親子じゃん』と思ったケド、今ならわかる。


年齢なんて関係ナイ!



十二で死にかけ救われて、それから七年もった。不老の才は二年、不死の才は四年、最終確認に一年。だから十七歳。


ナタが十なら七歳差、十一なら六歳差。女は男より長く生きるから、順番通りなら先に逝く事になる。






「ナタを幸せにしたい。だから少しでも長く生きて、ナタと生まれてくる子を守ります。」


命のとのしびが消える、その瞬間まで。


「ジロさんと共に生きたい。だからこうさま、お願い。母さんに伝えて。ナタは心から添い遂げたいと思う人と出会って、いろんな事を諦めずに生きると決めたって。」


ジロさんじゃなきゃ嫌。他の人と生きるなんて、肌を重ねるなんて考えられない。






先見さきみさまが、よしがニコニコと笑っている。この男を選んだナタが幸せになる、そんな先を。


鎮野しづめのでもなごやかに、穏やかに暮らす先を見たに違いない。



ナタで先読の力をふるい、鎮野で幸せに暮らす。そんな先を読んだ。えらんでも選んでも、その先にあるのは穏やかで和やかな暮らし。






「ジロ。直ぐに鎮野社しづめののやしろの祝、禰宜ねぎにも会いなさい。認められたら村外れに家を建て、ナタが十二になるまで一人で暮らす。認められなければ認められるまで、鎮野とナタに尽くして待つ。」


答えは『はい』、一択。


「はい、わかりました。」


鎮野社へ行き、鎮野社の面面と会います。会ってナタとの結婚を認めてもらいマス。


「タナも、良いね。」


「はい、紅さま。」






母さんが教えてくれた。手を繋いでイヤじゃなければ抱きしめて、抱きしめられてイヤじゃなければ添い遂げられる。


好きな人を追いかけるより、好きになってくれた人と契る方が幸せになれると。



ジロさんには祝の力とは違う、とても強くて清らな力が眠って居る。いいえ。強くて清らな力に選ばれたか、親から受け継いだのでしょう。


乱雲山で生まれ育ったから、強い力を持って生まれた。きっと、そう。






「家を建てるなら倉のように、床が高い建物にすると良い。村外れだし、いろいろ出るからね。」


ユタが微笑む。


「鎮野の禰宜も祝も、きっと気付くわ。」


ジロが持つ、その力に。


「生まれてくる子を守り、生きるのは難しい。けれどナタ、ジロさんと力を合わせて乗り越えてね。」


「はい、嚴さま」






鎮野と大泉には、他の山と違って祝辺はふりべから守られている。だから何も知らない、良く調べもシナイ若いのが突っ走る。


そのたびに真っさらにしてしまうから、ずっと前から守られていると聞いた。



祝辺に近いけれど守られている。そんな山に入り、熊を狩りながら進む。そんな事を出来るのは国つ神の使わしめ、社憑きかな?


ジロさんは何も従えてイナイけれど、その気になれば何だって。






「どうしたの、嚴。難しい顔をして。」


ユタ。


「話せるなら話して。ほんの少しでも、思うように動けなくても嚴の力になりたい。」


「ありがとう、ユタ。」


ダイスキ。






嚴とユタ、ナタとジロ。二組、四人が心の中で誓った。どんな時も離れず諦めず、幸せにすると。



新天地編でした。再生編に続きます。お楽しみに!


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