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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
新天地編
1425/1600

16-80 言い残す事は


人のもりは霧雲山の統べる地の、人のおさでもある。


霧雲山の統べる地で暮らす全ての人を守りたい。けれど、そのような力は無い。だから思うのだ。


出来るだけの事をして、少しでも多くの人を救おうと。






「聞きました。また気の毒なおにを、戻れない隠を増やしたそうですね。。」


・・・・・・。


「ひとつ守。」


「そうですね。」


ひとつ守と人の守は、こうなった時の八の扱いを決めていた。


「では、すい。」


「はい。」




これはイケナイ、嫌なヤツだ。


喰隠くおより酷いヤツ、となると奥津城おくつきか。奥津城おくつきなんだな。あぁ、終わった。



何だよ。ちょっとイイのを見つけて、化けるまで待ったダケじゃナイか。それなのに。




「それなのに、何だ。」


ゲッ、スミ。忘れてた! ココには心の声が聞こえるのが、ワンサと居るんだったぁぁ。


「思い出したなら話は早い。」


話し合いましょう、ひとつ守。と言ったら何か、変わるだろうか。いや、それよりも。


「心を入れ替え、人のために働きます。」


キリッ。


「八よ、もう遅い。」


そんなぁ。


「觸 (そく)のとなり、空いてましたね。」


ととっ、とつ守まで。




ジロに頭をパッカァンとされ、オビスに脳味噌をビチャッとされた八。少しはマシになると思ったのに、残念ながら何一つ変わってイナイ。




よろしいのですか。山守に、あの隠が仕掛けますよ。」


不安を増幅させ、心を操る闇の力は強い。けれど八は、更に強い力を求めていた。


「山守の民が傷つけば、山守社やまもりのやしろが狙われます。」


そんな事は無い。


「山守から人が居なくなれば、山守神やまもりのかみが御隠れ遊ばす事に。」


山越に分社わけやしろがあるからね。イザとなれば、まぁ何とかなるでしょう。






オビスの狙いは山守の民。呪いの種であるカヨの望みは、山守の民を根絶やしにする事。


山守の村が滅んで困る人はイナイ。祝辺はふりべの民だって、もう食べ物を渡さずに済むのだ。大喜びするだろう。



山守神は山神で在らせられる。山守神は生贄いけにえ人柱ひとばしらも要らぬと、そうおおせだ。山守の社の司が幾度いくたびも伝えている。


なのに山守の民は全く、ちっとも聞き入れない。



山守神をあがめるのは山守の民だけではナイ。


山守社の人も隠も口には出さないが、山守の民が居なくなっても困らないと思っている。






「言い残す事はソレだけか。」


「とつ守、お願いします。山守の民を、あの地で暮らす民を見捨てないでください。」






とつ守はカヨを、呪い種を見守ると決めた。考えを変えたのは鎮森が、鎮森の民が望んでいるから。


カヨは大岩のほらで琴を弾きながら、ティのうたを歌っている。それを鎮森の民が、とても楽しみにしているのだ。



カヨの願いを叶えるため、ドウコウする事は無い。無いが、山守から人が居なくなれば多くの人が助かる。そう考えている。


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