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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
新天地編
1415/1598

16-70 今、会いに行くよ


チビッ子になつかれて、頼られて長居しちゃった。


けれど祝辺はふりべと山守、山越のアレコレに鎮森しづめもりおにの関係。他にもイロイロ知ることが出来た。






「キャァッ。」


この声は!


「今、会いに行くよ。」


ジロが物凄い勢いで駆け出した。




山越から南へ。山越と山守社やまもりのやしろの間に、とても大きな石があった。気になったケド、今はソレどころではナイ。




「待っていて、乙女おとめ。」


乙女とは限らない。


「くぅまぁぁ。」


大きな熊が何かを攻撃しようとしている。


「とぅっ。」




走りながら腰を落とし、止まると同時に飛び蹴り。


熊の首がグワンとなり、ドダッと倒れた。シュタッと着地し、そのまま跳ねてニヤリ。




「エイッ。」


熊の頭部を踏み潰し、確実に仕留めた。


怪我けが、じゃない。どこか痛いトコロはありませんか。」






幼子おさなご、それも男だった。


男に用はナイと去れば、きっとジロの印象が悪くなる。もし運命の相手の関係者なら。そうでなくても、幼子を一人残して立ち去れない。






「うわぁぁぁん。」


チビッ子、号泣。


「そうだな、怖かったな。」






慰めながら幼子を抱きしめ、背をポンポンと優しく叩いた。すると安心したのか、鼻水も出して大号泣。


汚いトカうるさいトカ思っても、口にも顔にも出しません。



幼子を抱きしめたまま頭を撫で、微笑むジロは思う。


サッサと血抜きして解体しなければ、どんどん美味おいしくなくなる。何とかしたいがドウにもならない。大泣きする子を突き放せないと。






「名を教えておくれ。」


・・・・・・。


「どう呼べば良い?」


「知らない人に教えちゃイケナイって、言われてる。」


そう言ってキュッと、くちびるむすんだ。


「そうだな。なら、オビスと呼ぶよ。良いかな。」


「うん。」






熊の処理をしながらオビスと話し、打ち解けたトコロでイロイロ聞き出した。


詳しい事は分からないが、言い付けを破って家を飛び出したラシイ。



戻りたいが戻れない。そう言って泣くオビスに、どう声を掛ければ良いのか思い悩む。


けれど考えれば考えるホドこんがらがり、『伝わらなければソレまでだ』と開き直った。






「言い付けは守らなきゃイケナイぞ、オビス。」


と言いながら、胸を押さえるジロ。


「おじさん?」


・・・・・・十七歳です!






言い付けを破って外に出た。家に帰りたいケド、どうすれば戻れるのか分からない。そう聞いて思った。山守の民とは距離を置き、警戒を強める必要があると。



諸悪の根源は山守の民にある。


人が足りないから攫う、生贄いけにえが足りないからさらう、人柱ひとばしらが足りないから攫う。


全く理解できない。何だソレ。






「何でもないよ。」


「そう、なの?」


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