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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
新天地編
1413/1598

16-68 しっかり務めを果たしなさい


山守社やまもりのやしろに祝は居ないが、祝の力を持つ人は居る。


事情を説明すれば適切に処理してくれるだろう。






カンカンカン。


「こんなモンか。」


「そうだな。」






山越分社やまごえのわけやしろをソウの独房にする事に、反対する者は一人も居なかった。



もともと山越分社はトモを、手が付けられないワルを大人しくさせるために建てられたモノ。


他の分社は違うだろうが、山越分社の巫覡ふげきに特別な力など必要ない。






「ドウなってんのよ。」


おにになったトモが叫ぶ。


「何なのよ、アレ。」


分社の離れを指差し、腹を立てる。






トモはおのに祝の力は無く、口寄せも出来ないと気付いていた。けれど『神から崖に分社を建てるよう、御告げがあった』のはまこと



山守の民が山越に来るたび、村の男に捨てさせた。それは山越を山守から守るため。


何を言っても聞いてもらえず、悔しい思いをしたがうらんではイナイ。






「見えない、聞こえないのは諦める。でもね。」


ソウも見えないし聞こえないが、トモが居るのに気が付いた。


「縛られているのに腰を浮かして、『やらせろ』って叫ぶのよ。」


相手は隠だしチョン切られているのだ。どう前向きに考えても交われない。


「父さんに会いたくて母さんを探したけど、ドコにも居ないし。」




天寿を全うしたトミは根の国へ行き、隠になって戻った。戻って直ぐにトモの見守りを開始。


十数年後、隠になったトモを連れ根の国へ。




「『しっかり務めを果たしなさい』ってアレ、何だったの。」


生まれ育った地に戻されたのだ。何とかナッタのだろう。


「ってか、何で出られないのよ!」


隠になったトモは山越から出られない。マツとリツを守るため、トミが本気をだしたから。


「イタッ。つつくな。」


山越烏の御隠居がキツツキのようにトモの頭をつつく。


うん、楽しそうだ。






「おじさん、もう行っちゃうの?」


弟クン、涙目。


「また会える?」


お兄チャンも涙目。




ジロは恋に恋する十七歳。謎ダンスを踊るけど、おじさん呼びはめてあげて。




「小さい獣でも獣は獣。仕留めるまで気を抜くな。」


兄弟がコクンと頷く。


「母さん、父さんの言い付けを守るんだぞ。」


「ハイッ。」






コウとツウが聞いたら、きっと涙を流して喜ぶだろう。立派になったネ。



ジロは山越のチビッ子に、小さな獣を狩る罠の張り方を教えた。


平地が少ない山越で、食べ物を育てるのは難しい。だから『狩を』と考えて。






「ジロさま。いろいろ、ありがとうございました。」


村長に感謝され、チョッピリ照れる。


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