16-67 こちらを、お使いください
ジロは呪いかドウか確かめるため、鎮森で汲んだ光る泉の水を少し掛けた。
するとソウからジュワッと、ドス黒い『何か』が出てビックリ。それが股間に吸い込まれ、恐ろしくなる。
「急ぎましょう。」
「ハイッ。」
ジロは思った。ソウの怪力は、その力の源は下腹部にあると。
立ち会った村長、狩頭も同じ事を考えたようだ。黙って見合い、ソウを簀巻きにした。
それからチョン切り台の製作が始まり離れ、という名の物置に設置。
「先ずは。」
「そうですね。」
ソウが気絶している間に大木に凭れさせ、両手をシッカリ縛って結ぶ。手を合わせるようにせず、手首までズラして。
腹と両腿の付け根は、もうキツク縛ってある。押さえ付け要員が到着したら膝を折って座らせ、股を開かせれば良い。
暴れる前に力の源と考えられる局部を切除すれば、並か非力になるだろう。
「さて、はじめますか。」
短剣は化け王から貰った高級品。だから出来るなら、使いたくない。
「ジロさま。こちらを、お使いください。」
良く切れそうな石器を渡され、思わずニッコリ。
「ありがとう。」
押さえ付け要員は十二人。皆、痩せているが狩り人。手足を一本づつ三人で押さえ、力強く頷いた。
「では。」
シュパン。
「ヴガァァ。」
猿轡を填めているのに、熊のような声で叫んだ。
けれど気にしてイラレナイ。素早くタマをシュパシュパと切除し、根と共に清め水が入った器に投げ込む。
それに蓋をし、縄で縛るのは村長の役目。
「ヴッ。」
ソウには山越分社の覡として、死ぬまで働いてもらわなければイケナイ。だから生かす。
「動くなよ。」
尿道が閉じれば死ぬ。だから閉じないようにブサッと、木の枝を細く削った物を差し込むのだ。
「✕〇※ッ。」
相当、痛かったらしい。涙と鼻水でスゴイ事になっている。
「『動くな』と言っただろう。」
キレイに洗った布を患部にペタリ。
「では、お願いします。」
再び気絶したソウを大木の根元からチョン切り台に移動させ、両の手足を縛って固定。
尻の下に穴が空いているので、垂れ流しても大丈夫。
患部が乾く前に水を掛け、常に湿った状態を保つのだが、女性には任せられない。だから押さえ付け要員が交代で担う事になった。
「村長、切り取ったソレ。どうするんですか。」
狩頭に問われ、空を見上げる。
「山守社に頼んでみては?」
ジロ一人なら地割崖を登れる。けれど祝社が、祝辺の守がブツを適切に処分してくれるとは限らない。
「そうですね。急ぎ、先触れを出しましょう。」




