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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
新天地編
1411/1598

16-66 片付けますか


山越は思った以上に遠かった。


それにしても何だ、あの森。気の所為せいなんかじゃない、木が動いたんだ。根がボコッとしたりったりして。


見たぞ、この目で。



鎮森しづめもり


呪い種が暮らしているトカ、山守に殺された人のおにとらわれているトカ、祝辺はふりべの守にナレナカッタ隠が暮らしているトカ何とか。



それら全てが事実なら、どうして山守の民が生きているんだ。






「おんなぁぁ。」


素っ裸でブラブラ、いやブンブンさせながら全力疾走してくる変態が一人。


「あぁ、アレか。」


去勢予定者は。






熊肉を村長の家の前にドンと置き、民を集めて分け与えた。


それを嬉しそうに持ち帰るのを見て、人は他の命を頂く事で、その命を長らえているんだと思い知る。



今頃、家族みんなで食事の支度をしているんだろうな。熊鍋をフゥフゥしながら美味おいしく食べ、ゆっくり休んで明日への活力を蓄える。


健康は活力の源だからネ。






「さて、片付けますか。」


幸せな時間をち壊す邪魔者には、直ぐに消えてもらいましょう。


「おんなぁぁ。」


母さん似だけど男だよ。






よだれを垂らしながら卑猥ひわいに腰を振り、一物いちもつをブルンブルンさせながら近づく男の名はソウ。


裂いた獣、という意味らしい。



ジロは心の中で『きたないモン見せるなよ』と毒づきながら、おもむろつかを握った。






「ヤラせっ。」


ソウが泡を吹き、ガクッと倒れた。






化け王から贈られたのは切れ味バツグン、身幅の広い諸刃もろはの短剣。峰打ち出来ない。


だから柄頭つかがしら鳩尾みぞおちを一撃し、気絶させてから処分する事にしたのだ。






「さて、ドコで切ろうか。」


性癖は死ぬまで変わらない。だから一番、確実な方法を選ぶ。


「切るとは、その・・・・・・。」


「タマと根です。」


去勢してから放たなければ犠牲者が増えるダケ。だから迷わず、速やかに処理しましょう。一番、確実な方法ですヨ。


「切り取ってから歩けるようになるまで、早ければ四月でしょうか。それまで子が近づけない村外れ。風通しが良く薄暗い、ひとやほらがあれば教えてください。」





山越分社やまごえのわけやしろには今、誰も居ない。


だから気絶したソウを放り込み、去勢手術する事にした。






「この建物、思い切って獄にしませんか。」


山越分社と呼ばれているが、神をまつっているワケでは無い。山越を山守の民から守るため、谷に落とす手続きをする場所。


だから作り変えても問題ない、よね?


「獄。」


良い考えですネ。






反対意見が出なかった理由の一つに、ソウの異常性が挙げられる。


兎に角、手が早いのだ。悪さしないよう木に縛り付けても、女の姿を見ると目の色を変えて大暴れ。腰を振って縄を切ってしまう。


話を聞いたジロはピンときた。大勢の前で伝えるとマズイので、村長を呼んで伝える。ソウは何かに呪われているカモしれない、と。


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